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林産試だより2006年5月号 特集「平成17年度 研究成果発表会」 木材接着剤による変色とその防止

 ●特集『平成17年度 研究成果発表会』

木材接着剤による変色とその防止

技術部合板科 平林 靖

 研究の背景・目的

 木材の変色は,材料の価値を低下させる要因のひとつであり,その防止は木材を利用する上での大きな課題です。変色はさまざまな要因で引き起こされますが,接着剤も変色の原因となることがあります。
 今回は代表的な木質材料用接着剤(フェノール樹脂接着剤,変性酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤,水性高分子イソシアネート系接着剤)について,変色汚染の原因とその防止対策について検討しました。


 研究の内容・成果

◎ フェノール樹脂接着剤

 フェノール樹脂で接着した合板が,建築現場で屋外に放置され雨水にあたると,表面が赤褐色になることがあります。これはアルカリ汚染の一種で,接着層中のアルカリ性成分が雨水に溶解し,木材成分と反応して生じた変色汚染です。


写真 北洋カラマツ-フェノール樹脂接着合板の水濡れによる変色
(上段:試験前,下段:試験後)


 接着剤中のアルカリ成分を低減することにより,変色抑制効果が観察されました。

◎ 変性酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤

 変性酢酸ビニル樹脂エマルジョン接着剤を使用した高周波接着集成材の接着層が茶褐色~黒褐色に変色することがあります。この接着剤は酸性下で硬化することから,酸が変色に関わり,硬化温度等に影響されることが分かりました。


写真 加熱処理した変性酢酸ビニル樹脂接着剤の加熱の状況

◎ 水性高分子-イソシアネート系接着剤(水性ビニルウレタン)

 水性高分子-イソシアネート系接着剤を用い,ミズナラ,ヤチダモなどの広葉樹材を集成加工すると接着層が褐色に変色することがあります。これは木材に含まれるタンニンが接着剤中の水分と反応し,温度が加わることにより変色が起こることをモデル化合物を用いて確認しました。

図 ミズナラ材中のタンニンとモデル化合物

◎ まとめ

 木材の変色は,接着剤の種類,使用樹種,水分,温度等の組み合わせのなかで,一定の条件がそろったときに発生しています。これらの条件の一つを取り除くことにより変色の防止が可能となります。


 今後の展開

 接着剤の性質を十分に理解した変色の起きない使用方法について技術指導していくとともに,メーカーと連携して,変色の起きにくい,変色を起こさない接着剤の開発につなげたいと考えます。

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