●特集『平成17年度 研究成果発表会』
平成10年に防護柵の設置基準が改定され,所定の性能を満たせばガードレールの材料に木材を用いることができるようになりました。ビームに木材を用いることで,ガードレールと沿道景観との調和を良くすると同時に,木材産業の活性化,林業の健全化,新規産業・雇用の創出などへの間接的な効果も期待できます。そこで,地場産材を活用し,耐雪性に優れた北海道型木製ガードレールの開発を目指しました。
防護柵の設置基準に基づいて,北海道の道路事情に適合した形状や強度について検討を行いました。
ビームについては静荷重強度試験を実施して強度性能を確認し,構造計算によって橋梁用防護柵(B種・C種)に必要な部材量と形状を確認して設計しています。支柱については鋼材を使用しています。
開発した北海道型木製ガードレールは,以下のような特徴を持っています。
1.ビームにカラマツ集成材を用いることによって,品質や寸法安定性が優れており,強度設計も容易となります。
2.ビームのカラマツ集成材を鋼材で補強して強度性能を高めており,橋梁用防護柵(B種・C種)に要求される性能を満たしています。
3.ビームの形状を工夫して積雪の影響を減らすとともに,ブラケットや接合部を工夫することで耐雪型防護柵に必要な強度性能を有しています。
なお,B種・C種の適用区間は下表のとおりです。
現時点では,一般道の設置要件である実車衝突試験による性能確認を行っていないため,当面は橋梁用防護柵や林道におけるガードレールとしての活用を図ります。
今後はコスト削減に向けた改良に取り組むとともに,一般道への設置を目指して実車衝突試験の実施を検討し,北海道型木製ガードレールの普及を進めていきます。