●特集『平成17年度 研究成果発表会』

木材の良さをいかす耐火被覆材の開発

性能部防火性能科 河原ア 政行

 研究の背景・目的

 平成10年の建築基準法の改正で,建築物の火災安全性に関する性能が明確化されたことに伴い,木造建築物でも法規に定める耐火性能を付与すれば,鉄筋コンクリート造のような大規模で不特定多数が集まる建築物(耐火建築物:デパート,集会場,映画館,ホテル,劇場など)の建設が可能になりました。そこで,これまで比較的大きな規模において実績のある集成材建築物について,耐火建築物への適用を可能とするため,構造部材である集成材に耐火性能を付与し,かつ木材の良さをいかす木質耐火被覆材の開発を行っています。


 研究の内容・成果

○木質耐火被覆材による集成材への耐火性能の付与について

 集成材に付与する耐火性能は,具体的には火災終了後においても建築物が倒壊しない強度を保持することです。本研究では,集成材に取り付けた木質耐火被覆材が,火災時ではその遮熱効果で集成材への熱の流入を阻止し,火災終了後では被覆材内で燃焼が停止する(燃え止まる)ことで,集成材の燃焼による強度低下を防ぐことを考えました。

図 集成材への耐火性能付与

○木質耐火被覆材の製造条件の検討

 木質耐火被覆材としては,薬剤を注入したスギ材を検討しました。平成16年度は,薬剤にリン酸水素二アンモニウムを用いて,厚さ60mmのスギ材に耐火被覆材としての性能が付与される条件を検討しました。
 試験体の性能は,1時間の加熱の後,3時間放置する耐火試験で評価しました。その結果,注入した薬剤固形分量の増加による炭化速度の低下,および薬剤固形分量150kg/m3以上の処理条件で燃え止まることが分かりました。

表 耐火試験の結果


 今後の展開

 平成17〜18年度は,集成材に木質耐火被覆材を取り付けた試験体を用いて,集成材への耐火性能付与に有効な被覆材の厚さ,取付方法,目地の処理等を検討しています。平成19年度以降は,これらの研究成果を基に,集成材建築物を建設している企業や関連する企業の方々との意見交換を通じて,集成材による耐火建築物の実用化を目指した研究を進める予定です。

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