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林産試だより2006年5月号 特集「平成17年度 研究成果発表会」 木質バイオマスを用いた緑化用資材

 ●特集『平成17年度 研究成果発表会』

木質バイオマスを用いた緑化用資材

利用部成分利用科 岸野 正典

 研究の背景・目的

 従来一般廃棄物と同様に焼却処分や埋め立て処分されていた流木や抜根等の低質な木質バイオマスを,近年緑化基盤吹付工の緑化用資材として用いるようになってきました。
 しかし,木質バイオマスを緑化用資材として用いた場合,植物の発芽率や生育性が極端に低くなるという問題点があります。この理由として,一つにはタンニンやフェノール系物質,精油など,植物の発芽や生育を阻害する物質が含まれていること,もう一つには有機質炭素が多く含まれており,これらを分解する土壌微生物が増殖する際,多量の窒素源を消費してしまい,土壌中が窒素飢餓状態となることがあげられます。
 本研究では,木質バイオマスを植物の発芽および生育に好適な緑化用資材として活用することを目的に,窒素分の添加や材料の改質が期待できるアンモニアを用いた木質バイオマスの処理を検討しました。


 研究の内容・成果

 アンモニアを用いて木質バイオマスを処理し(写真1),その植物の発芽や成長におよぼす影響を検討しました。



写真1 アンモニアを用いた処理による木質バイオマスの変化

 その結果,タキシホリンなどの抽出物の性状が変化し,冷水によって抽出されやすくなるとともに,全窒素含有量が増加することが明らかとなりました。すなわち,アンモニアを用いた処理は植物生育阻害物質を改質させる効果があるとともに,木質バイオマスに窒素分を保持させる効果もあり,木質バイオマスの全窒素量の増加には,樹種や粒度,水分が影響することが明らかとなりました。
 このような木質バイオマスを土壌に配合し,植物の発芽および生育におよぼす影響を検討したところ,植物の発芽および生育は黒土のみや,無処理の木粉を配合した培土よりも促進され(写真2および図1),しかも地上部のみならず地下部の成長も促進することが明らかとなりました。



写真2 播種後21日目の芝の生育状況


図1 芝の発芽および平均生育長とアンモニア処理日数の関係

 今後の展開

 本研究の成果にもとづき,特許『緑化資材とその製造方法』を出願中です。
 今後,本研究成果の実用化に向け,実大規模での製造技術の確立や,本緑化資材を用いた施工技術の確立,安定した品質の確保に向けた緑化資材中の全窒素含有量の簡便な推定方法の確立が必要と考えています。
 現在,「このような緑化用資材を製造・販売したい」,「このような緑化用資材を用いた緑化基盤吹付工を行いたい」とお考えの企業と共同研究を実施して,本研究成果を実用化したいと考えており,これらの企業を募集しております。詳しくは林産試験場ホームページ内の「林産試だより」2006年4月号をご覧ください。なお,園芸や農業分野での利用も考えられますので,これらの分野からのお問い合わせもお待ちしております。

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