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林産試だより2006年5月号 特集「平成17年度 研究成果発表会」 高齢級カラマツ強度試験の結果について

 ●特集『平成17年度 研究成果発表会』

高齢級カラマツ強度試験の結果について

根室森づくりセンター 栗田 健

 研究の背景・目的

 網走西部森づくりセンターでは,H16年から40年生以上の高齢級カラマツの資源内容を把握し,主伐材の有効利用と適地へのカラマツ再造林の指導を目的にカラマツ高齢級調査を行っています。H16年の紋別市の調査結果では平均胸高直径が24cm以下の林分の割合が63%と,小・中径木の主伐材の有効利用が課題となりました。一方管内にはカラマツ集成材工場があり毎年生産量を増やしていますが,特に強度の高い集成材については一部外材を使用しています。
 予め原木の強度が明らかであれば、製材工場や集成材工場では少ない在庫で高強度のラミナを持つことができ、その分の効率化は強度に応じた原木への価格転嫁、また、外材に頼らず地域材の需要拡大に期待が持てます。
 そこで、管内で課題となっている主伐期の中小径材の強度を明らかにし、これらのラミナ利用の検討を行いました。


 研究の内容・成果

 サンプル採取はH17年5月からH18年3月にかけて3回に分け,43年生から52年生までの5林分で行いました。各調査地から複数のサンプルを伐採して工場に運搬し,ラミナ製材後に1週間乾燥させグレーディングマシンでヤング率を測定しました。また測定したラミナの一部を切断して持ち帰り,年輪幅と未成熟部の比率を測定しました。

<試験地の概要>

 

試験地の概要

<試験結果>

・最頻値(各林分の最も多かった径級)の胸高直径から採取したサンプル同士で比較した結果,L140のラミナは52年生林分からのみ出現しました。
・52年生林分の各胸高直径階から採取したサンプルで比較すると,胸高直径が大きくなるほどL140のラミナが増える傾向が見られました。
・平均年輪幅とヤング率の関係では,L140のラミナは3.3mm以下で現れ,4mm以上は全てL110以下でした。
・未成熟部比率とヤング率の関係では,未成熟部比率が小さいほどヤング率が高くなる傾向が見られました。

<考察>

・胸高直径が大きいほど強度の強いラミナが製材できました。これは胸高直径が小さいとラミナ製材時に年輪幅の緻密な成熟部が木取りされないためと考えられます。
・今回の調査では52年生林分のサンプルのみL140を示しましたが,その割合は20%と低いものでした。カラマツは強度のバラツキが大きい樹種のため,サンプル数を多く取れば50年生以下の林分でもL140を示す可能性は考えられます。


 今後の展開

 今回の試験結果からは,小・中径木の多いカラマツ高齢級林分が強度のあるラミナの供給源として有効利用できるとは言えませんでした。しかしこの年輪幅の緻密なまま肥大成長し,50年生程度で胸高直径28センチ以上に達したものからはL140のラミナを効率よく採取できる可能性が示されました。今後は森林組合や林産関係者等に試験結果を提供し,主伐材の有効利用を図っていきたいと考えています。
 また現状の高齢級過密林分ではすでに優劣がはっきりしているものも多いため,しばらく主伐を望まない所有者に対しては,今後の主伐目標の目安としてこれらの結果を活用していきます。そして主伐を予定している所有者へは,適地にはカラマツの再造林を推進した上で,適宜の間伐による大径材生産の施業目標を普及していきたいと考えています。

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