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林産試だより2006年7月号 Q&A 先月の技術相談から 建築解体材のボイラー燃料としての利用

Q&A 先月の技術相談から

建築解体材のボイラー燃料としての利用

Q:石油価格の高騰から,木くず焚きボイラーの導入を検討しています。その際,値段の安い建築解体材も使いたいのですが,注意点を教えてください。


A:木材を構成する元素は,炭素が約49%,酸素約44%,水素約6%で,約0.1%の灰分と窒素がわずかに含まれているだけの,きわめて“きれいな”資源といえます。また,木材も,燃焼により二酸化炭素を発生しますが,植林によりその二酸化炭素を固定して再び木材を生産することになり,温室効果ガスの放出とはならないカーボンニュートラルという考え方ができ,そのようなことから森林バイオマスのサーマル(熱)利用が推進されています。
 他方,建設リサイクル法において,木材は特定建設資材に指定されており,解体材等の建設発生木材もリサイクルすることが求められています。
 しかしながら,建築解体材などを使う際には注意が必要となります。というのも,建設に用いられる木材には,防腐剤や接着剤などの化学物質により処理されているものも少なくないからです。
 このうち,建設リサイクル法の基本方針でCCA(クロム・銅・ヒ素化合物系防腐剤)処理木材は,不適切な焼却を行った場合に有害ガスの発生や焼却灰に有害物質が混入するなどの問題があることから,それ以外と分離・分別して適正に焼却または 埋め立てするよう定められています。林産試験場では,そのための分別の手引きを発行しています。
 しかし,建築解体材にはCCA以外にも,燃焼により環境汚染や,炉を傷めるような化学物質を含んだ処理を施された木材が使われていた可能性があります。なお,処理に用いられてきた薬剤は,技術開発や有害性などにより時代とともに変化しており,現在使用禁止となっているものや,法規制の強化などによりほとんど製造されなくなったものもあります。建築解体材は過去に使われてきたものが排出されることになりますので,障害となる可能性のある化学物質(薬剤)に含まれる元素と処理方法(用途)について過去のものを含め,紹介します。

(1) ハロゲン元素(フッ素,塩素,臭素,ヨウ素)
 燃焼条件によりダイオキシン,臭化ダイオキシンが発生する可能性があります。ハロゲン元素を含む可能性があるものは,防かび剤,防腐・防蟻剤,防火・難燃剤,接着剤,塗料などです。

(2) イオウ,窒素
 燃焼により硫黄酸化物(SOx),窒素酸化物(NOx)が発生し,大気汚染や,機材の腐食を引き起こす可能性があります。イオウを含む可能性があるものは,防かび剤,防火・難燃剤,窒素を含む可能性があるものは,防かび剤,防火・難燃剤,防腐・防蟻剤,接着剤,塗料です。

(3) 有害重金属等
 含まれる可能性のあるものは,クロム,ヒ素,セレン,カドミウム,水銀,鉛です。これらを含む可能性があるものは,防腐・防蟻剤,防火・難燃剤,塗料ですが,この内クロムとヒ素以外は塗料などの顔料に含まれる場合だけと思われます。
 ヒ素や水銀は気化温度が低いため,煤煙処理で捕集しなければ周囲にまき散らすことになります。
 また,これら以外にも,ホウ素,ナトリウム,リン,銅,亜鉛,バリウム,マグネシウム,アルミニウム,ケイ素,カルシウム,チタン,マンガン,鉄,コバルト,モリブデンが含まれている可能性があり,上記の元素との組み合わせによっては腐食性を高める原因となります。
 現在,焼却炉についてはダイオキシン類対策特別措置法などにより厳しい規制がありますが,ボイラーについては対象外です。しかし,将来的にボイラーも焼却炉並みの規制が及ぶことも予想されます。その際には,焼却炉と同じバグフィルターなどの煤煙処理装置の付加で,かなりの費用を要します。
 また,木材のみの灰は有害物を含む可能性は低いのですが,建設解体材の燃焼灰を利用する場合には,用途によっては成分分析を行い安全性を確認する必要があります。  これらのことから,設備や分別の程度によりますが,建築解体材の安易な使用は,避けた方がよいでしょう。

 

(利用部 再生利用科 山崎亨史)

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