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林産試だより2006年7月号 行政の窓 違法伐採問題をめぐる動向について

行政の窓

違法伐採問題をめぐる動向について

 近年,違法伐採問題は,地球規模での環境保全,持続可能な森林経営の推進にとって,国際的な課題として関心が高まっています。
 今回は,この違法伐採問題をめぐる現状や日本の取組状況について,ご紹介します。


 違法伐採とは…?




※写真はイメージです


 「違法伐採」の国際的な定義は存在しませんが,一般的にはそれぞれの国の法律に反して行われる伐採を指すものとして解されています。
 違法伐採の例としては,産地国における
 ●正規の許可を得ていない伐採
 ●伐採禁止区域における伐採
 ●伐採が禁止されている樹種の伐採
 などが挙げられています。

 このような違法伐採は
 産地国における森林の減少・劣化の原因となるとともに,安価な違法伐採木材が世界に輸出され,我が国のような輸入国の国内林業・木材産業にも悪影響を与えるおそれがあります。


 現状


 違法伐採が多いとみられている地域は,次のとおりです。
【東南アジア】
 インドネシア:インドネシアとイギリスとの合同調査の結果,生産される木材の約50%以上が違法伐採木材であると報告されています。
 マレーシア:インドネシア等からの違法伐採木材流入を環境NGOが指摘しています。
【ロシア(ロシア極東地域等)】
 環境NGOからは,生産される木材の20~30%が違法伐採木材であると指摘されていますが,ロシア政府は1%未満との見解を示しています。
【アフリカ】
 コンゴ川流域(カメルーン,ガボン,コンゴ等)
【ブラジル】
 アマゾン川流域

 こうした状況の中,平成17年7月にイギリスで開催されたG8グレンイーグルスサミットの成果を踏まえ,「気候変動イニシアティブ」として,グリーン購入法を用いた合法材等の政府調達を始めとした具体策を内外に表明しました。


 日本の違法伐採対策


 日本としては,2000年九州・沖縄サミット以来,
 「違法に伐採された木材は使用すべきでない」という基本的考え方に基づき,
  ●二国間・地域間及び多国間での協力の推進
  ●違法伐採木材の識別のための技術開発
  ●民間部門における取組の支援などを行ってきたところです。

 さらに平成18年4月からは,グリーン購入法を用いて,政府や地方公共団体などによる調達の対象を合法性・持続可能性が証明された木材・木材製品とする措置が導入されています。


 

 

 グリーン購入法を用いた木材・木材製品の調達に関する仕組みは次のとおりです。


 グリーン購入法を用いた木材・木材製品の調達とはどういうことですか。


 グリーン購入法とは,「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」を指し,環境に負荷の少ない物品の調達を推進するための法律です。
 国では,この法律に基づく「環境物品等の調達の推進に関する基本方針(以下,「基本方針」)」を見直し,平成18年4月から,調達の対象を合法性・持続可能性が証明された木材・木材製品とする措置を導入しました。
 また,道においても,「環境物品等調達方針(以下,「調達方針」)」を見直し,国と同様の措置を実施しているところです。


 どのような物品が対象となりますか。


 紙類(例:フォーム用紙,印刷用紙等)
 文具類(例:事務用封筒,ノート等)
 機器類(例:いす,机,棚等)
 ベッドフレーム
 公共工事資材(例:製材,集成材,合板,単板積層材等)

 これらの物品の納入にあたっては,合法性・持続可能性の証明が求められることになります。


 合法性・持続可能性とは?


 合法性・持続可能性の定義は次のとおりです。
  合法性:森林関係法令上合法的に伐採されたものであること。
  持続可能性:持続可能な森林経営が営まれている森林から産出されたものであること。


 基本方針や調達方針では,調達の対象となる物品を選択するための条件として,「判断の基準」や「配慮事項」が規定されています。
 「判断の基準」には,「合法性」を調達の対象物品とするための満たさなければならない基準として規定されています。また,「配慮事項」には,「持続可能性」を調達にあたりさらに配慮することが望ましい事項として,位置づけています。

【判断の基準・記載例】

 (物品)バージンパルプ(間伐材及び合板・製材工場から発生する端材等の再生資源により製造されたバージンパルプを除く)が原料として使用される場合にあっては,原料とされる原木はその伐採に当たって生産された国における森林に関する法令に照らして合法なものであること。

【配慮事項・記載例】

 (公共工事)間伐材,合板・製材工場から発生する端材等の残材,林地残材及び小径木以外の木材にあっては原料として使用される原木が持続可能な森林経営が営まれている森林から産出されたものであること。


 合法性・持続可能性はどのように証明すればよいのですか。


 木材及び木材製品の合法性,持続可能性の証明については,関係者の方々に自主的に取り組んでいただくこととなります。また,証明書は一定期間保管することや,その証明の根拠を求められた場合は関係書類等を提示しなければなりません。
 主な証明方法は,「木材・木材製品の合法性・持続可能性の証明のためのガイドライン」(林野庁)に示されています。
 合法木材ナビ https://www.goho-wood.jp/guideline/




 主な証明方法は次のとおりです。


 1 森林認証制度(例:SGEC,FSC等)及びCoC認証制度を活用した証明方法


・ 森林認証制度及びCoC認証制度は,持続可能な森林経営の行われている森林を第三者機関が評価・認証し,そこから生産された木材・木材製品を分別管理することにより,消費者が選択的にこれらを購入できるようにする制度です。
・ 森林認証を取得した森林から生産された木材・木材製品がCoC認証制度と連結し,認証マークが押印された木材・木材製品,伝票等をもって証明することになります。
・ 主な森林認証制度等
  SGEC: Sustainable Green Ecosystem Council (「緑の循環」認証会議)
  FSC : Forest Stewardship Council (国際的な森林認証団体~森林管理協議会)
  CoC : Chain  Of Custody (加工流通過程の管理認証~「管理の連鎖」)


 2 森林・林業・木材産業関係団体の認定を得て事業者が行う証明方法


・ 関係団体は,合法性・持続可能性の証明された木材・木材製品を供給するための自主的行動規範を作成します。団体の認定事業者が証明書の交付を繰り返すことにより,合法性,持続可能性の証明の連鎖を形成することになります。
 この方法による証明のため,既に全国組織(日本合板商業組合,日本フローリング工業会等)や道内組織(北海道森林組合連合会,北海道木材産業協同組合連合会)等が,事業者による認定申請の受付を開始しています。
・ 伐採段階においては,
① 合法性について,伐採に当たって原木の生産される国又は地域における森林に関する法令に照らし手続きが適切になされた旨,
② 持続可能性について,原木が持続可能な森林経営が営まれている森林から産出されたものである旨を証明書に記載することになります。 ※ この場合は,既存の伐採許可や森林施業計画認定書の写し等を,証明書とすることができます。

・ 加工・流通段階,納入段階においては,合法性,持続可能性の証明がなされたものである旨を証明書に記載することになります。
・ 証明書の見本は次のとおり



【証明書の事例】


注①上記は合法性,持続可能性を証明する場合の例であり,合法性のみを証明する場合は持続可能性に係る記述を省略して下さい。
注② 丸太,製材,合板,集成材等を記述して下さい。
注③商取引上の単位(m3,本,kg,枚など)について記入してください。

・ 合法性等証明書の作成については,既存の伝票などを活用していただいても結構です。


 3 個別企業等の独自の取組による証明方法


・ 個別の事業者等が独自に森林の伐採段階から入荷に至るまでの流通経路を把握した上で証明する方法です。この方法は,多様なものが想定されますが,合法性,持続可能性については,2の証明方法と同等のレベルで信頼が確保されるよう取り組む必要があります。

(水産林務部 林務局 林業木材課 木材産業グループ)



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