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林産試だより2006年9月号 Q&A 先月の技術相談から 木工工作で上手に接着する方法

Q&A 先月の技術相談から

木工工作で上手に接着する方法

Q:木工工作で,上手に接着するにはどうすれば良いですか?




図1 木材の三断面の顕微鏡写真

A:もの(被着材)とものを接着するためには,接着剤を介して物理的・化学的に結合しなければなりません。接着剤が被着材表面の空隙(くうげき)に入り込み硬化して結ばれることを機械的接着(アンカー効果)といい,木材は主にこの効果により接着されます。 木材は,顕微鏡で見ると図1のように道管や仮道管などたくさんの空隙を持つ多孔質の物質です。この空隙にしっかりと接着剤を流し込むことにより,強い接着力が生じます。図2は二枚の板材を接着し,その木材部分を化学薬品で分解除去して残った接着層の電子顕微鏡写真です。木材の道管に沿って流れ込み,硬化した接着剤が髭(ひげ)のように延びています。さらにその髭の一本を拡大すると(図3)道管の壁にあいている孔にまでアンカーのように接着剤が入り込んでいるのが分かります。



左:図2 道管内で硬化した接着剤の電子顕微鏡写真       右:図3 図2の拡大顕微鏡写真 



 木材を適正に接着するためには,まず十分に乾燥させてから,接着面をサンドペーパーで磨き,油分をシンナー等で拭き取るなどして表面をきれいにし,接着剤を薄く,均一に塗布してください。接着にとってよごれ,油分,水分は大敵です。十分なアンカー効果を得るためには,接着剤が硬化する(木工ボンドでは半日から一昼夜)まで,ある程度の力を加え,しっかりと固定することが大切です。接着剤が流れやすいうちに圧力を加えることにより,木材の空隙に接着剤が入り込みます。固定にはクランプやはたがねのような専用治具もありますが,輪ゴム,あるいはテープやヒモでもかまいません。
 木工工作には木工用ボンド(酢酸ビニル樹脂エマルジョン)がよく使用されますが,瞬間接着剤(シアノアクリレート)ホットメルト接着剤なども利用できます。

 

 一般的な瞬間接着剤は粘度が低く,塗布と同時に木材に吸収されてしまい,接着層を形成できず,十分な接着力を得られない場合があります。このため,木工用に粘度を高めたものや,ジェルタイプの瞬間接着剤も市販されています。ホットメルト接着剤は,接着剤を熱で溶かすための専用ガンを用いますが,材料が冷えていると一旦融けた接着剤がすぐに冷えて硬化してしまいますので,手早く接着することが必要です。
 このようなことに注意して,木工工作を楽しみましょう。

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