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林産試だより2006年9月号 職場紹介 きのこ部 品種開発科

職場紹介

きのこ部 品種開発科

 北海道のきのこ生産量は,数年来,約16,000トン/年で大きな増減はありません。しかし,安価な輸入品に対抗することなどから,売価(生産額)は下がりつつあります。さらに,原油価格高騰による原材料費や栽培ハウス等のランニングコストの上昇,人件費の上昇などにより,生産者は収益が見込める見通しがはっきりしない不安定な経営を強いられています。

 このような状況を踏まえ,品種開発科では,主にシイタケの生産性向上に取り組んでいます。また,ほかの試験研究についても,常に生産者の目線にたつことをこころがけ,鋭意努力を重ねています。


 研究設備



 きのこの栽培試験は,空調設備を備えた約20m2の部屋を使用して行っています(写真1)。温度や培地(きのこの苗床)組成等の条件を変えた試験により,きのこの発生状況や収穫までの期間の違いなどを把握できます。

 また,液体クロマトグラフィー(写真2)という分析装置により,きのこの成分等に関する基礎的な試験研究を行うことができます。ほかに,遺伝子増幅装置や細胞融合装置という機械により,バイオテクノロジーに関する研究を行うことができます。




左:写真1 培養室                右:写真2 液体クロマトグラフィー


 研究内容




写真3 シイタケ

 最近の研究では,「未利用副産物を用いたきのこ栽培技術の開発」というテーマで,モミ殻,ソバ殻,タマネギの皮といったこれまで捨てられてきた農業副産物を利用してシイタケなどを栽培する技術を開発しました(写真3)。具体的には,おが粉培地の成分としてこれらの農業副産物を加え,それぞれの成分の割合を最適化することで,栽培期間の短縮,収量の増加といった成果を見いだしました。

 特にソバ殻を利用する技術については,既に道内のソバ生産地近隣の生産者に広く使われており,きのこ生産者からは原材料のコストダウン,生産期間の短縮,収量の増加などの効果があったと喜ばれています。さらに,これまで処理に困っていたソバ殻が利用できるため,ソバ生産者や一次加工業者など農業関係の分野にも貢献できました。

 また,付加価値をつけることで値段が高くても買ってもらえるきのこの栽培技術にも取り組みました。「シイタケの菌床栽培における機能性付与技術の開発」というテーマで,ビタミンや有用ミネラルといった栄養成分を多く含んだシイタケの栽培技術を開発しました。

 現在は,原油価格の高騰にともない栽培に使用する灯油価格も上昇していることから,シイタケ生産におけるランニングコストを下げることにより生産効率を高める研究を行っています。具体的にはきのこが発生するまでの期間(培養期間)と収穫期間の両方を短縮することにより生産効率を高める研究,および菌床の生産コストを低減するためにきのこの廃菌床(きのこを収穫した後に残る苗床)のリサイクルの研究に取り組んでいます。

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