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林産試だより2006年10月号 Q&A 先月の技術相談から 経営指標の見方について

Q&A 先月の技術相談から

経営指標の見方について

Q:製材工場を営んでいます。利益を確保していくために計数管理の必要性を感じていますが,代表的な経営指標の計算の仕方や,見方などについて教えてください。


A:製材工場は利益率の低い業種といえます。一概に利益といっても,損益計算上各段階での利益があるのはご存知のとおりです。それらの利益のうち、製造業の経営を見るためによく使われるのは次の二つです。  売上総利益とは,俗に粗利とも言い,会社の本業による直接的な利益となります。売上高から売上原価を減じて求めます。企業利益の出発点であり,この段階で利益が出ていない企業は事業を続行していくことが難しいと言えます。  営業利益とは,売上総利益から販売費及び一般管理費を減じて求めます。製造業であれば,製造した物を営業活動を通じて販売した結果得られる利益です。  これをもとに,以下に代表的な経営指標について記します(数値は,道内黒字・欠損企業平均)1)

■収益性指標

・売上高対総利益率


 製品販売やサービスの提供を行うことにより,直接的に得られた利益の水準を示し,次式で表されます。

  売上高対総利益率(%)=売上総利益÷売上高×100

 本業が安定しており,仕入・販売の価格が安定していれば,毎期ほぼ同水準になります。また,この比率は会社の属している業種・業態によって求められる水準が異なりますが,最低20%程度が必要と言われています。製造業22.8%,製材業では14.5%であり,やや低い値となっています。

・経営資本対営業利益率


 この比率は,経営活動に投下した資本が効率的に利益として実現されたかを示し,経営活動の成果を端的に表しています。

  経営資本対営業利益率(%)=営業利益÷経営資本×100

 過去においては,投資による機会利益遺失分を定期預金金利との比較に求め,その2倍程度が望ましいとされていましたが,現在では一般的に10%を超えればかなり良いと言われています。道内企業のこの値は,製造業2.0%,製材業0.0%となっています。いくら当期に大きな利益を生み出しても経営資本がそれを上回る水準で大きくなれば,将来的に収益を圧迫し利益が低下してくるおそれがあるので注意が必要です。

■安全性指標

・流動比率

 これは,短期の支払能力に関する指標です。1年以内に支払わなければならない流動負債に対して,その支払源泉となる1年以内に現金化できる予定の流動資産がどれだけあるかを示します。銀行などで,お金を貸す側が注目する指標です。

  流動比率(%)=流動資産÷流動負債×100

 最低でも100%は必要です。製造業の174%と比較すると,製材業の153%は低いと言えますが基準の100%は超えています。

■効率性指標

・経営資本回転率

 この指標は資本の運用効率,すなわち経営効率を示します。この比率は,業種や経営戦略によりかなり差があります。製造業では他の業種に比較して概して低く,製造業1.5回,製材業はやや高い1.6回となっています。

  経営資本回転率(回)=売上高÷経営資本

 業種を問わず計数把握に基づく経営管理は今日的には必須のものです。ここには示しませんでしたが原価管理も非常に重要な項目となります。比較的これらの管理がラフとされる製材業ですが,厳しい経営環境を乗り越えるために,経営者から現場作業員に至るまでの意識改革が望まれます。


1)(財)北海道中小企業総合支援センター:平成15年度版 北海道における中小企業の経営指標(工業編)(2003).


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