職場紹介
経営科では,木材産業における経営改善と道産材の需要拡大に関わる分野で調査研究を行っています。
図1 開発した原木適正発注量計算プログラムの入力画面
製材工場は原木,製品ともに大きな在庫を抱えがちな産業といわれていますが,本道では適切な在庫管理をはじめとする科学的な管理を行っている工場は少ないのが現状です。そこで,本道製材業界の在庫やリードタイムの実態を調査するとともに,原木適正発注量計算プログラムを開発し(図1),適切な管理下におけるキャッシュフローの改善効果の試算および改善策の検討を行いました。その結果,本道の平均的な製材工場における試算では,適切な在庫管理を行うことにより,在庫量の13%,運転資金量の7%の圧縮が可能になることが示されました。
道産材の利用を促進するためには,コスト面や流通面,品質面などからの様々な取り組みが必要ですが,地球環境問題への関心が高まっている今日においては,環境面からの取り組みも欠かせません。そこで,製品の環境負荷を総合的・定量的に評価するLCA(ライフサイクルアセスメント)の手法を用いて,住宅に道産材を利用することがどのくらい「環境に優しい」のかを評価する取り組みを行っています(図2)。
図2 LCAの手法による道産建築用材の環境負荷の評価イメージ
林産試験場で開発する各種製品や技術の民間への移転・事業化を促進するため,想定される利用者や生産者に対し,製品・技術についての聞き取り調査やアンケート調査などを実施して,市場性の把握・分析と技術的課題等の検討を行っています(写真1)。これらの結果を研究開発にフィードバックさせ,実用化・事業化への指針として活用しています。
写真1 調査用に作成した開発製品のパンフレット
(針葉樹内装用合板と3層・4層集成柱材の例)
こうした当科独自の研究課題のほか,当場の研究各科で行われている様々な技術開発・製品開発に研究開始段階から関わり,コストや市場性を検討して,目標コストや生産システムの設計を含めた研究の方向性を示す取り組みを行っています。