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林産試だより2006年11月号 発熱合板及び発熱複合パネル

●特集『知的財産権 その1』

発熱合板及び発熱複合パネル

技術部 合板科 西宮 耕栄


 はじめに


 林産試験場では,北海道合板株式会社との共同研究の成果の一部として「発熱合板及び発熱複合パネル」という特許を北海道合板株式会社と共同して出願し,2006年1月に特許3755029号として登録されました。その内容について説明します。


 発熱合板・発熱複合パネルとは


 カーボンブラックやグラファイトなどの炭素系導電性物質は電気を通すと発熱します。発熱合板や発熱複合パネルはこの性質を利用して接着剤にこれら導電性物質を混ぜて製造し(図1)接着剤が硬化した後の接着層に電気を流すことによって一種の面状発熱体のように発熱させるものです。このような方法で木材を主要な構成材料として面状発熱体を製品開発した例はなく,発熱合板の製造方法と,接着剤の種類や導電性物質の種類,配合割合について検討して特許化したものです。検討例として,図2に同じ電圧をかけて同じ時間通電した後の発熱合板の表面温度と配合割合の関係を示します。この結果からも発熱性能に配合割合が大きく影響していることがわかります。このように接着剤に導電性物質を混合して合板や複合パネルを製造する方法を用いると,
 ①製造コストが低い
 ②二次加工の手間が少ない
 ③合板工場で製造可能
 ④設備投資が少なくて済む
などのメリットがあります。特に,合板工場の通常設備を大きく変更することなしに付加価値を高めた製品が製造可能であることは大きなメリットと言えます。



左:図1 製造方法      右:図2 配合割合と表面温度


 発熱合板・発熱複合パネルの用途


 想定される用途は,住宅設備として,床暖房や壁暖房,屋根融雪などへの利用が挙げられます。特に,北海道では集中暖房が主流ですが,トイレやキッチンなどで補助的に輻射暖房したいという要望も見られ,壁などに組み込むことができればデザイン的にもスペース的にも有効であると考えられます。発熱合板を応用した床暖房システムを開発できれば,市場の大きい本州方面などでの普及が期待されます。また,暖房器具としては,パネルヒーターや足元ヒーターへの応用が考えられ,椅子などの家具に発熱性能を付与することも可能です。成型加工も可能であるため,曲面を多用したデザイン性の高い木製品に発熱性能を組み込んで製造することができ,木材の持つ自然の風合いや暖かさなどのイメージにデザイン性と実用的な機能性まで含めた新しい製品の開発が期待されます。


 おわりに


 この特許は発熱合板の製造方法及び配合についての基本特許です。製品として実用化するためには電気用品安全法に適合させる必要があるなど,克服しなければならない課題もありますので,技術開発に継続して取り組んでおります。

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