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林産試だより2006年12月号 Q&A 先月の技術相談から 木製サッシの遮音性の向上について

Q&A 先月の技術相談から

木製サッシの遮音性の向上について

Q:最近,車などの交通騒音が気になるようになってきました。
 特に,窓際に設置したソファーに座っているとき,テレビ音などが聞き取りづらくなってきています。
 木製サッシを使用しているのですが,アルミやPVCのサッシに交換しなくてはいけないのでしょうか。


A:ご質問からは,木製サッシの遮音性が他のサッシに比べて劣っていると感じられているようですが,そういうことはありません。

 サッシの遮音性は,使用しているガラスや気密性能などサッシの構造に大きく左右されるため,木製サッシだからといってアルミやPVC(塩化ビニール)より遮音性が劣ることにはならないからです。

 最近の住宅では,複層ガラスを使用した断熱性,気密性に優れた木製サッシが普及しており,使用するガラスに応じた遮音性が確保できるようになっています。

 また,木製サッシの枠や框(かまち)の断面や厚さは,ガラスの大きさや開閉機構によって違いはあるものの,アルミやPVCに比べて大きくなっているため,ガラスの見付(みつけ)面積が相対的に小さくなるので一般的には遮音上有利と言われています(図1)。



図1 ガラスの見付面積


 ですから今回のご相談では,まず騒音が気になるようになった原因を明らかにすることが必要です。


 騒音が気になりだした原因として以下のものが考えられます。
 I 交通騒音の悪化, II サッシの気密性の低下

I 我が国では,自動車保有台数は年々増加しており,それに加えて道路網の拡張のため,郊外の住宅地においても交通騒音にさいなまれる可能性が指摘されております。実際,平成10年度に実施された自動車交通騒音の測定結果1)では,すべての時間帯における環境基準の達成率は大都市で5.4%,その他の地域で14.5%と低くなっています。このような場合は,サッシの遮音性を向上するため,次の(1)~(4)の対策が必要となってきます。

  (1) ガラスの交換
  (2) サッシの追加(二重窓)
  (3) シャッター,雨戸の設置
  (4) サッシの交換

 対策として安価な方法は,(1)及び(2)の方法です。(1)の場合,複層ガラスを使用するためガラス厚さが増加するので,既存の障子の見込寸法によって交換するガラス厚が制限されますが,木製サッシの枠や障子の見込寸法は比較的大きく余裕があります。また,薄くても遮音性能の向上が図れる真空ガラスといった商品もあるため,大抵の騒音源に対する効果は得られるはずです。

 (2)の場合はサッシが二重となるので,(1)の場合以上の効果を得ることが可能です。ただし,既存サッシの開閉機構や面外に突き出た操作金物(レバーハンドルなど)によっては,二重化のためのサッシを付加しづらいこともあます。既存のサッシ及び付加するサッシの開閉機構がスライディング形式(引き違い,片引きなど)であれば比較的容易に行うことができますが,どちらか一方若しくは両方がスイング形式の場合,開閉操作に伴って障子が面外に大きく突き出す機構のため,二重化が困難な場合もでてきます。

 (1)や(2)の対策が困難な場合や,対策による効果が不十分な場合は,(3)や(4)といった対策が必要となりますが,コストや工期といった面で負担がかかります。


II 開閉機構を有するサッシには,気密性を確保するための気密材が必ず設けられています。材質,形状,耐久性など様々ですが,開閉操作に伴う摩耗などの物理的劣化や紫外線などによる化学的劣化の程度に応じて,気密性が低下し音の透過が大きくなります。このような場合は,新しい気密材に交換することで,サッシの遮音性を回復できます。しかし,建物に設置されたサッシの気密性を検証することは難しく,気密材の劣化程度も見た目では判断しづらいことが多いため,気密材の交換で遮音性向上がどのくらい見込めるのかがわかりづらい面があり,対策方法としては普及していません。


 参考資料

 1)沿道交通騒音状況研究会 監修:“道路周辺の交通騒音状況 11”,(株)ぎょうせい,p.25(2000)




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