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林産試だより2007年1月号 年頭のごあいさつ

 

場長顔写真

年頭のごあいさつ


北海道立林産試験場長 金谷 誠



 新年あけましておめでとうございます。新年を迎えるにあたりご挨拶申し上げますとともに,昨年中の林産試験場に対するご支援,ご助言に対し厚く御礼申し上げます。

 昨年は,10月上旬の台風崩れの低気圧により,道東では,大雨や高潮による農業や漁業に,また,道北では局地的ではあるものの,人工林を中心に風害が発生したところであります。最近のスコールを思わせる雨の降り方や竜巻の発生,台風が衰えないまま本道へ接近する様を見るにつけ,地球温暖化の影というよりその本体が姿を見せ始めている感がいたします。

 それにしても,日本ハムファイターズ,駒大苫小牧高校とベースボールの世界では本道勢の活躍は見事でした。北海道旋風が吹き荒れ,感動の風と拍手の波が道内各地を覆い,心に残る出来事でありました。このような風ならば是非,今年も吹いて欲しいものと思っております。

 さて,林業林産業の風でありますが,中国などでは木材需要が旺盛で,日本のマーケットに外材が入りにくく,輸入量の減少傾向が続き,原木価格が強含みで推移していること,また,道内の資源がカラマツを中心に充実期を迎え,その顔も全国的に少しずつ知れわたるようになっていることなどから,道内の丸太価格はじりじりと値を上げている訳ですが,残念ながらまだ製品にはその恩恵が届いてはいない状況であります。このように木材産業界の風は,上空(川上)には強い追い風が吹き始めているものの,足下(川下)にまでは及んでおらず,瞬間的には強い風が吹いても,平均風速を増すまでには至っていないというのが実感ではないでしょうか。

 昨年,林産試験場では,木質材料の需要拡大,木質資源の有効利用,木材産業等の体質強化を研究の柱として,カラマツ主体のハイブリッド集成材の開発など地域材の高度利用,難燃材やVOC対策など安全安心な居住環境の提供, 木質バイオマスの有効利用を図るためのより安価で小型化を目指したペレットストーブの開発などに取り組んできました。

 これまで林産試験場では,産出された木材等をいかに効率的に加工利用するかを中心に試験研究を進めてきましたが,これからの役割としては利用し加工する側からの,「こんな木材を生産して欲しい」といった要求を,森林をつくる側に発信していくベクトルも大切であると思います。このことは,地域材の高度利用につながり,地産地消の取り組みや昨年度立ち上がった「北海道林業再生研究会」の課題解決にも貢献できるものと考えております。

 また,木によって育つ,育ててもらうという意味を持つ「木育」に対する取組にも力を入れていきたいと考えております。

 スペインでは「木材に触れると不幸なことが消える」と言われ,多くの家庭に無垢(むく)の木材で出来たテーブルなどがあり,日常的にこれに触れているということを良く耳にします。 そこには,人と森や木との関わりを大切にしてきた伝統が息づいているという想いがいたします。木育も子供たちだけにターゲットを絞るのではなく,むしろ大人を含めた家庭の中に広めるべきものだと思います。

 昨年の「木になるフェスティバル」には,これまででもっとも多い1_500人を超えるたくさんの地域住民の方々に参加を頂きましたし,林産試験場を見学したいという方々も,道内はもとより道外,外国からも大勢お見えになりました。このような機会を通じて,木材の美しさや感触,環境に優しいといった優れた性質をじかに感じ,理解していただき,木材とこれを育む森林が一人一人の心の中に息づくことが,「木育」の目指すところではないかと考えております。

 今年も皆様方のご指導ご協力をお願いし,年頭に当たってのご挨拶といたします。


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