職場紹介
生産技術科では食用きのこの栽培技術の改善や北海道に適した品種(道産品種)の育成を行っています。これまでにマイタケ (写真1)やタモギタケ(写真2),ブナシメジ(写真3)の新品種を開発し品種登録を行っています。また,野生型エノキタケ,ツバナラタケ,ムキタケといったいまだ市場に流通していない新規きのこについても実用化を進めています。
左:写真1 マイタケ「大雪華の舞1号」,中央:写真2 タモギタケ「エルム・マッシュ291」,右:写真3 ブナシメジ「マーブレ88-8」
これまでの生産効率を重視した栽培技術に加え,新しい視点として,きのこの美味しさや機能性に着目した研究を行っています。これまでに,人による官能試験(調理したきのこの味見をして評価する試験)と味覚成分等を関連づけて,異なる品種や培地の組み合わせにより食味を改善できることを示しました。この他,きのこの第3の機能といわれている生体調節機能に着目し,血圧の上昇を抑制する機能を強化した品種の育成を行っています。
きのこの培地には一般的に広葉樹おが粉が使われますが,針葉樹おが粉に比べ高価なものです。このため,道内に豊富にあるカラマツ等の針葉樹おが粉を混ぜた培地でも適応できるブナシメジやマイタケの品種の育成を行っています。
道産きのこの差別化や消費拡大を目的として,鮮度や味覚特性等の品質を見た目や感覚ではなく,測定による指標値で表す検討を行っています。
生産技術科では企業や一般の方からのきのこ栽培に関する技術相談に応じています。また,冊子などで栽培技術に関する知見や情報の紹介を行うとともに,道内企業に栽培技術等の支援を行っています。
写真4 物性測定器
栽培施設として大型の恒温恒湿室,きのこの培地作りなどのために中型ミキサー,瓶詰め機,高圧殺菌釜,掻(か)き出し機等の一連の栽培関連機器を備えており,中規模の栽培試験まで行うことができます。
さらに,HPLC(高速液体クロマトグラフィー)を用いてきのこの味覚成分(アミノ酸,低分子糖など)の分析や機能性の評価を行っています。また,物性測定器(写真4)を用いて,きのこの美味しさの指標のひとつであるテクスチャー(食感)の評価が可能です。