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林産試だより2007年4月号 開口部一体型省エネ外断熱システムの商品化

●特集『産学官連携による開発研究の進め方』

開口部一体型省エネ外断熱システムの商品化

性能部 主任研究員 菊地 伸一



 地域新生コンソーシアム研究開発事業とは




図1 地域新生コンソーシアムのイメージ


 林産試験場では,平成18年度の地域新生コンソーシアム研究開発事業(本誌記事「競争的研究資金を活用する開発研究の進め方」参照)で採択された「開口部一体型省エネ外断熱システムの商品化」に取り組んでいます。これは,木・アルミ複合カーテンウォール等を展開している飯田ウッドワークシステム(株)の飯田氏をプロジェクトリーダーとして,北海道大学,民間企業および林産試験場から成る研究共同体が研究開発を行うもので,「コンソーシアム」とは今回形成したような研究共同体を意味します。

 地域新生コンソーシアム研究開発事業の趣旨,概要は表1図1に示すとおりで,産学官が緊密に連携して研究開発を進めること,研究開発終了後の事業化が視野に入っていることが特に強調されています。コンソーシアムに参加する企業の規模および1件当たりの研究金額によっていくつかに区分されており,本課題は中小企業枠の中で3倍近い競争を勝ち抜いて採択されました。


表1 地域新生コンソーシアム研究開発事業の概要



 実施課題の概要


 現在社会は化石資源を利用することによって生活の便利さを得る一方,温暖化ガス濃度の増加など地球環境の悪化を招いています。その反省に立ち,二酸化炭素排出量を抑制するさまざまな対策が実施されていますが,その一環として建築分野でも省エネルギー性が高く,環境負荷の少ないシステムが求められています。このような社会的ニーズに応える方策の一つとして,既存建築物の省エネルギー効果を高める外断熱改修が普及し始めています。また,改築・改修には全面建替に比べて廃棄物量を低減できるメリットもあります。

 しかし,これまでの鉄筋コンクリート造建築物の外断熱改修工事では外壁部のみが対象とされ,窓等の開口部の断熱改修は十分には行われていません。このため,改修後に期待したほどの省エネルギー効果が得られないばかりではなく,窓周りでは外壁に比べて断熱性が確保されていないため,気流の発生によって改修前よりも肌寒いという現象が起きています。また,夏季には窓から取り込まれる日射のために,改修前よりも冷房負荷が大きくなってしまうといった問題もありました。

 本課題では,従来の外断熱改修が抱えている問題点を解決する外断熱システムの開発を目的としています。このシステムは断熱性と日射遮蔽(しゃへい)性の高い窓と外壁部が一体となった外断熱パネルを用いるもので,冷暖房エネルギーの節約と太陽エネルギーの有効活用が期待できます。


 参画機関のシーズ,役割分担


 本課題の出発点は,飯田ウッドワークシステム(株)が取り組んでいた窓等の開口部の断熱性,日射遮蔽性の改善技術にあります。また,飯田ウッドワークシステム(株)では,平成17年度に日射遮蔽効果の高いブラインドの設置方法についての技術シーズを開発していました。この技術シーズに,外断熱建築物の熱負荷特性の評価と設計に関する北海道大学工学研究科の知見,木材とコンクリートといった異種材料間のハイブリッド接合に関連する北海道大学農学研究科の特許技術,多様な建築物の外断熱改修に関する(有)バウ工房の実際的なノウハウ,および木質構造の耐力向上,開口部の断熱性,気密性向上,さらに開口部や外壁の防耐火性向上に関わる林産試験場の研究蓄積を加えて研究共同体が形成されました。さらに,設計事務所やビジネスコンサルタント等からの協力も得ています。

 研究課題の全体構成を図2に,個々の研究項目とそれらの研究担当機関を表2に示します。研究課題は6項目のサブテーマから成っており,この中で,林産試験場は外断熱パネルの支持方法,断熱・気密・水密性の検証(図3)および防火性能の付与技術を分担しています。

 現在,2年計画の1年目が終了し,研究項目に沿った個別の実験およびそれらを総合化した施工試験を踏まえ,早期の商品化をめざして研究開発に取り組んでいるところです。

図2 研究課題の全体構成
表2 研究項目と担当機関




図3 開口部の気密・水密性試験




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