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林産試だより2007年6月号 Q&A 先月の技術相談から 石こうボードを使用した木造住宅の防火上の利点について

Q&A 先月の技術相談から

石こうボードを使用した木造住宅の防火上の利点について



Q:壁や天井など内装材によく石こうボードが使われていますが,木造住宅の防火対策上どのような利点があるのでしょうか?


A:石こうボード(GB)は施工性の良さ,コスト面のメリットなどに加え,遮音性能(隣室や屋外の音を遮る,あるいは,室内の音を外部に漏らさない)や防火性能(火災を防ぐあるいは拡大させない)に優れていることから内装材料として住宅やオフィスの壁や天井などいろいろなところで使われています。GBは種類が豊富で,吸音性を向上させるための穴を開けたものや,内装材としてそのまま用いるために表面に仕上げをしたもののほかに,電磁波を吸収する能力を高めたものや,ホルムアルデヒドを吸着分解する性能を持たせたもの,防火上の性能を向上させたもの(強化GB)など多種多様な製品が商品化されています。

 GBが火災に強い理由は,GB重量のおおよそ21%の水を結晶水としてGB内部に保持している1)からです。これは,幅910mm×縦1820mm,厚さ12.5mmの一般的なGBでおおよそ3リットルの水を保持している計算になります。火災で加熱されると結晶水は蒸発を始めますが,ボード内部に水分があるうちはボードの温度は100℃程度で推移するので,その間は裏側へ高い熱を伝えるのを防ぎ,柱などの壁内部の温度上昇を抑える役割を果たします。GBは9.5mm,12.5mm,15mm,21mmなど厚さの種類が豊富で,厚さが増すほど水分量も多くなり防火性能は高いといえます。

 水分放出の終わったGBは徐々にぼろぼろになり,崩れ落ちたりはがれ落ちたりして防火上の役割を終えますが,強化GBでは,さらに耐火性能を向上させることを目的にボードの中につなぎとしてガラス繊維などを練り込み,水分放出の終わったあとの崩れ落ちを防ぎ,より高温域までバリアとしての機能を維持させることができます。

 建築基準法ではGBの耐火性能を認め防耐火構造の告示の中でGBを使用した具体例を数多く挙げています。また,GBは防火材料として国土交通大臣の認定を取得しており,9.5mm厚では準不燃材料として,12.5mmと15mmでは不燃材料として,内装制限のかかる箇所に使用することが可能です。

 林産試験場では,国土交通大臣認定の試験に準じた外壁の耐火試験を,同一の断面構成で屋内側のGBの厚さや種類だけを換えた状態で行いました。

 屋内側(GB側)から標準加熱曲線に沿うよう加熱したときのGBの裏面(壁の内側)の温度変化をに示します。図のように温度はしばらくの間100℃程度で推移したのち急激に上昇しています。また,GBの厚さが増すほど,100℃近辺で推移する時間が長くなっています。



図 GBの裏面の温度変化

 9.5mm厚の10分経過時で見てみると,GBの裏と表では541℃もの温度差が生じています。このように,GBに水分が保持されている間は水分の蒸発により温度上昇が抑えられ,優れた遮熱性能を発揮します。

 また,写真の左は一般的なGB,右は強化GBの試験終了直後の状態です。標準的なGBは壁から脱落し構造部材が露出していますが,強化GBは構造部材の炭化により釘の保持力がなくなって垂れ下がってはいるものの,崩れ落ちていません。



写真 試験終了直後の屋内側の様子

   

 以上のようにGBは,木造住宅の火災拡大を抑制するために必要な遮熱性に大変優れた建材であるといえます。


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