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林産試だより2007年8月号 特集「2007 木製サッシフォーラム」 木製ブラインドの紹介

●特集『2007 木製サッシフォーラム』

木製ブラインドの紹介

北海道立林産試験場技術部 金森 勝義



 ここでは,エクステリア市場の動き,エクステリアにおける木材の利用例などについて説明したのち,林産試験場と民間企業の共同研究で実施した木製ブラインドの製品開発事例について紹介します。


 エクステリア市場の動き


 エクステリアは,公共関連エリアと住宅エリアに大別されます。さらに,住宅エリアは窓やドアの開口部を含めた外壁に関係する「ウォールエクステリア」と,門扉,フェンスなどを含めた庭に関係する「ガーデンエクステリア」に分けられています。

 公共関連エリアは,パブリックエクステリアと呼ばれ,公共事業主体の道路,港湾,公園関係などの他に,好況を維持している民需主体のマンションやオフィスビルなどの景観・環境関係資材などが含まれています。

 ガーデンエクステリアの市場は,住宅着工数の減少,アルミ地金,鋼材及び樹脂などの材価高騰の影響を受け,需要がやや伸び悩んでいます。特に門扉の需要は,住宅の洋風化,オープン外構化(これまでの囲むエクステリアから見せるエクステリアへの変化)などの影響で落ち込みが顕著になっています。2005年度のガーデンエクステリア大手9社の市場規模は1_416億円であり,前年度並みとなっています。



図1 ウォールエクステリア市場

 一方で,木製サッシが含まれている2005年度のウォールエクステリアの市場規模は図1のように,前年度よりも僅かに増加しています。

 この微増の中身を見ますと,対象8品目のうち,最近はカーポート,バルコニー及びテラスが低迷し,他は堅調であり,特に木製・木質デッキと一部メーカーのテラスが好調な伸びを示しています。なお,テラス囲いとは,その壁面をガラスや樹脂などで覆ったサンルームやガーデンルームとよばれているものを指しています。
 市場規模に占める品目別の割合は,カーポートとテラスがそれぞれ3割ずつ計6割を占めています。また,1割弱を占めている木製・木質デッキでは,木粉入り樹脂板を用いたものが増えており,最近では木材の質感を出すために,木粉の添加率を開発当初よりもかなり高くした(添加率50~55%)ものが普及しています。


 ウォールエクステリアのエクステリアウッド


 窓やドアの開口部に関連するエクステリアウッド(屋外や厳しい自然環境下で使われる木材,木製品)の例を図2に示します。



図2 ウォールエクステリアの木製品

 デッキは,テラスやサンルームなどの床材としても使われています。後ほど,開発事例紹介をいただく木製複合サッシは,オープン外構化を構成する重要なアイテムであり,デッキに連動する商品と言えます。ぬれ縁をはじめ,ルーバー,面格子,庇(ひさし)は生活様式の変化や競合製品の台頭などによって需要が伸びていないものの,根強い需要があります。ガレージシャッターも後ほど,開発事例紹介の中で説明していだだきます。
 ブラインドはインテリアを対象とした木製品が数多くありますが,エクステリアを対象としたものは見られません。ただし,木粉入り樹脂とアルミ型材で構成される外付けブラインド(窓に直接ではなく,建物の躯体(くたい)の屋外側に取り付けたフレームに納めたもの)は市販されています。


 窓周りのエクステリアウッド





図3 エクステリアウッドの使用事例1

 住宅の窓周りにおけるエクステリアウッドの利用例を図3に示します。  これらは,静岡県のある会社から転載許可をいただいたWeb サイトの画像で,ルーバー,面格子,ぬれ縁及び庇の使用事例です。いずれも建物のリフォーム用として後付けすることも可能なもので,庇はトタン葺きの状態で売られています。ルーバーは木地仕上げと着色仕上げの2種類が商品化されています。これらのスラット(羽根板)は,ベイヒバを用いた固定式(回転や昇降ができないもの)となっています。






図4 エクステリアウッドの使用事例2

 次に,公共関連エリアにおける窓周りのエクステリアウッドの使用事例を2件説明します。まず,東京原宿にあるビルの木製ルーバーの事例を図4に示します。これはカラマツ集成材(幅45cm,最大厚み10cm,長さ8.4m)を600mmピッチでファサードに取り付けています。仕上げは木材保護着色塗料で行い,再塗装時には部材を壁体から取り外しできるように工夫されています。このルーバーはカーテンウォールのマリオン(方立)の役割をしている構造材で,日射遮蔽(しゃへい)の機能のほかに,台風などの短期荷重を負担するように設計されています。




図5 エクステリアウッドの使用事例3

 もう一つの事例として,都内にある共同住宅の木製ルーバーを図5に示します。左側の写真はルーバーが開口部の手すりを兼ねており,浴室のある部位はルーバーを上の階へと連続させています。都会ではルーバーに求められる機能として,日射遮蔽の他に目隠し効果も大きいと考えられます。右側の写真は同じ建物の入り口で,ここにも同様の木製ルーバーが使われています。







 ブラインドとルーバーの違い





図6 ルーバーとブラインド

 ここで,両者の関係を整理したものを図6に示します。

 ブラインドは,ベネチャンブラインドに代表されるように,欧米の住宅では古くからインテリアで使われてきたものであり,スラットを回転または昇降させることによって日射し調整が可能なものを指しています。したがって,窓の外に取り付けるブラインドは,外付けブラインドと呼んでいます。また,雨戸は最近,引き戸タイプからシャッター式が普及してきたことから,このシャッターに,通風プラス日射調整といったブラインドの機能を付加したものを外付けブラインドシャッターと呼ぶ場合もあるようです。

 一方,ルーバーはブラインドの「インテリア・可動」に対して,「エクステリア・固定」のイメージが強いのですが,両者の違いは明瞭ではありません。そこで,ここでは住宅や集合住宅などの窓の外に取り付けるものを「外付けブラインド」,オフィスビルなどの外壁(外皮)のガラスとガラスの間に取り付けるものを「ルーバー」という呼び方を使うことにします。


 外付けブラインドの製品開発





図7 アルミ合金製外付けブラインド

 次に,平成15,16年度にオイレスECO株式会社との共同研究によって,住宅や共同住宅の窓に外付けするブラインドと,オフィスビル外壁のガラスとガラスの間に取り付けるルーバーについて検討したものを説明します。

 同社では図7のように,住宅の窓の外側に取り付けるアルミ製外付けブラインドの製造販売を行っています。この製品は,窓の室内側に設置するブラインドに比べて,夏の強い日ざしを遮る効果が高く,また通風と日射調整が可能で,しかも防犯性に優れていることから,価格はシャッターに比べてかなり高いですが,需要は徐々に伸びています。

 共同研究ではまず,ブラインドのフレームをそのままにして,スラットをアルミ製から木製のものに換えることからスタートしました。最初に試作したものを図8に示します。



図8 木製外付けブラインドの試作1

 開口幅は45cm,スラットの断面形状は外側に凸状のものとし,その中央部の厚さを7~11mmとしています。スラットの断面形状は耐風圧性や防犯性,さらにすべてのスラットが上部に収納される時のかさ高さなどを考慮して決めなければいけません。しかし,この断面形状のものをテラスサイズの開口幅約210cmのフレームに取り付けたところ,試作直後は真っ直ぐであっても,実用上支障となる反りが発生しました。そこで,アルミと木材との組み合わせることを検討しましたが,当時はオール木(もく)にこだわりたいとの製品コンセプトがありました。再検討した試作品を図9に示します。




図9 木製外付けブラインドの試作2

 これは,ベランダサイズの開口幅よりも狭くし,腰壁のある比較的開口面積の小さい窓で,かつ,雨水に直接さらされにくい部位,例えば深い庇のあるところを対象としています。開口幅140cmで,スラットの断面形状は以前のものよりもシンプルですが,中央部の厚さは17mmにしています。また,材料は耐風圧性や防犯性を考慮してトドマツ材からタモ集成材に変更しています。左側の写真は横浜市の住宅で試験施工を行っている様子で,右側の写真は林産試験場で行っている屋外暴露試験の様子です。後者の屋外暴露試験は2年が経過し,日焼けが認められるものの,大きな変形は観察されていません。この点では及第点でしたが,何といっても板厚が厚すぎるため,たとえ木製スラットに適合した独自のフレームを開発したとしても,実用化はかなり難しいと判断しています。


 ルーバーの製品開発





図10 アルミ合金製ルーバー

 最近,オフィスビルでは図10のように,ファサードがガラス張りになった工法が増えています。その一つに,「ダブルスキン工法」があります。この工法はガラスとガラスの間に配置したルーバーを調節することによって,冷暖房や照明などの省エネ化と共に,年間を通して窓周りに快適な室内環境をつくるために開発されたものです。
 オイレスECO㈱では,ダブルスキン工法などに適合させたアルミ製ルーバーを商品化していますが,これに用いるスラットを木製でできないかとの相談を受けました。アルミ製から木製のスラットに置き換えることによって,木のぬくもりを生かしたオフィス空間を演出するとともに,反射光の軽減や携帯電話の送受信トラブルを抑制できないかチャレンジしてみました。



図11 木製ルーバーの試作1

 試作したルーバーを図11に示します。右側のスラットはタモ集成材を用いたもので,その断面形状はアルミ製と同様に丸みをつけています。厚さは中央部で7mmとし,塗装は紫外線吸収剤入り木材保護塗料による木地仕上げとしています。左側のスラットはアルミ製で,その厚さは中央部で1mmです。スラットの角度調整と昇降は電動式とし,各スラットの連結は両端部に取り付
けた専用のプラスチック製カバーとラダー(ひも)で構成されています。





図12 木製ルーバーの試作2

 この木製ルーバーについても,ブラインドと同様に,長いもの(開口幅1.6m,高さ3.2m,スラット枚数54枚)を3セット試作し,それらを図12のように,共同研究先の事務所に取り付け,スラットの寸法安定性や操作性などについて調べました。

 この結果,スラットの角度調整や昇降などの操作性に問題のないことが分りました。しかし,寸法安定性に更なる改善が必要であることが分かりました。




 今後の展開





図13 今後の展開(木製外付けブラインド)

 外付けブラインドの今後の展開については,防犯性能がさほど要求されない部位,あるいはどうしても木製品を使いたいとの要望が強いケースに限定した取り組みを検討しています。例えば,図13に示すような,住宅の高窓で,かつ木製サッシとの調和を図るために取り付けた外付けブラインドなどです。

 スラットは木製ルーバーで試作したものとし,それらをはめ込むフレームはアルミ製と同じものを用いています。ただし,フレームとスラットの取り合いは耐風圧性を考えて改良しています。外付けブラインドの実用化にあたっては,木製ルーバーとは異なり,耐風圧性や防犯性に対する要求度が高いため,慎重な取り組みが求められています。




図14 今後の展開(木製ルーバー)

 次に木製ルーバーの今後の展開については,開口幅を狭くして,スラットの寸法安定性を高めることについて検討しています。図14は林産試験場に展示中のもので,開口幅を100㎝にしています。これまでの経過観察から,この程度の開口幅であれば,実用化の可能性を期待できることが分かりました。今後は開口幅が100㎝を超える木製ルーバーの実用化を目指して,寸法安定化処理を施した木質材料の活用などについて検討していく予定です。




参考資料

 1)日経アーキテクチュア:日経BP社,11-10(2003)
 2)新建築:新建築社,9,181(2003)



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