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林産試だより2007年8月号 特集「2007 木製サッシフォーラム」 意見交換会

 ●特集『2007 木製サッシフォーラム』

意見交換会



パネラー:吉野,平井,高柳,金森(敬称略)
司会:平間


平間:今回は,民間企業の事例紹介として(株)ワタナベと日本ドアコーポレーション(株)(以下ニドコ)から講師をお招きしました。まず最初の質問として,金属やアルミなどの材料から木材を使用するに至った経緯をお聞かせください。

平井:アルミサッシは,断熱性を考えると北海道では限界がありました。樹脂サッシは,普及しておりますが,当社としてのオリジナリティーを付与できない。そこで,木製に目をつけアルミと木材の複合サッシを開発しました。

平間:やはり地域性を考えた上ですか。

平井:そうです。北海道で使用できる商品開発です。

高柳:私のほうは,はじめはスチールドアを製作しておりましたが,現場に建て付けに行くと寸法が違い大変苦労しました。そこで,木材でも防火規制をクリアできることを知り,木材を使えば大きく作っておいて現場で切断,切削することが容易であると考えて木材を使い始めました。実際に使用してみると,予想以上に大変で防火戸の性能をクリアするために林産試験場と共同研究をしました。

平間:木材は自由度が高いので,扱いやすいという一面を持っていますが,その反面,使用していくと不具合が生じてくることもあります。長年,木材と関わっている金森さんにお聞きしますが,木材と上手く付き合っていくための方策を教えてください。

金森:エクステリア部材で木材を使っていくにあたり,乾燥技術,耐久性,塗装技術などの周辺技術が向上しておりますが,ユーザー側がそれらの情報を収集しきれていないのが現状です。木材とアルミもしくは木材と樹脂との複合化など,異業種分野へのアプローチをすることによって次のステップに展開していけば,木材が克服していかなければならない問題がクリアできるかも知れません。



写真1 エクステリアウッドの使用例

平間:金森さんのスライドで,木材を大胆に外側に出して使用している例がありますが,一般的なカーテンウォールではガラスの内側に木材が被覆された形です。なぜ外側に出したのでしょうか。

金森:カーテンウォールのマリオンを外側に使用する例はあります。この場合,設計者の意図があるのかもしれませんが,周りの情景が表参道のケヤキ並木ということで景観を合わせる目的があったと思われます。また,木材の意匠性だけではなく,強度性能も負担させているという点では新しい試みかもしれません。

平間:吉野さん,建築の立場からどう思いますか。

吉野:木材の乾燥技術,メンテナンス技術が発達しておりますが,まだ外で木材を使用するには完璧ではありません。しかし,10年に1回の塗装とシーリング剤の充填(じゅうてん)を計画的に行うことと,設計者がユーザー側に対して,足場の組立て費用などを含めたメンテナンス費用を提示することができれば,ある程度は問題は回避できるのではないかと思います。

平間:ニドコさんのガレージドアがありますが,木材のメンテナンスについてユーザーの反応はどのようなものですか

高柳:日本のお客さんはメンテナンスを好まないようです。例として風除室に木材を使用したところ,半年でアルミの風除室に変わってしまいました。つまり,製造・販売する側も木材の欠点を理解しないでユーザーのいうとおり設置し,ユーザーもメンテナンスをしなかったので問題が生じたのでしょう。こういった場合は,木材を使うことはできません。これから,木製ドアの需要が高まり他の会社でも作るようになった場合,製造・販売する側も,ユーザーも,木の性質を理解しないと一方的に木材のイメージが悪くなり,最終的には需要は減ってしまうという皮肉な結果になってしまうでしょう。木の教育ということが非常に重要です。

平間:木の使い方の教育というのは非常に重要ですね。この点では,アルミと木材の複合サッシを開発した平井さんは,木材を使用するにあたり苦労されたのではないでしょうか。

平井:まだ木材を使い始めたばかりなので分からないことばかりですが,最近は広葉樹と針葉樹を木目の違いから見分けることができるようになりました。

平間:試験場の役割としましては,木材に関する情報を広く普及していくことだと思います。金森さんにお聞きしたいのですが,これから商品開発を行う方々に対してどのようにアドバイスしていったらよいでしょうか。

金森:まずはご相談頂くことですね。そして林産試験場にある情報をとことん利用し,開発の戦略を練ることが重要ではないでしょうか。林産試験場だけで対応できない場合は,北総研や工業試験場など横のつながりもありますので,そちらを紹介することも可能です。
 話は変わりますが,最近では木粉樹脂入りのデッキが販売されるようになっています。このデッキには,木材に近い色から比較的カラフルな色まで様々な色が用意されています。その中でも木材のエイジングを意識したような,グレーや茶色のくすんだ色というのが売れているようです。これは,木材ではないけれど木材の「エイジング」が評価されているという一例だと思います。
 一方で,このデッキのように本来は木材しか使われなかった部分に,木材以外の商品が出てきたことによって,逆に「木材である」ということが魅力として再認識されてきているようです。この部分は木材業界にとっては追い風だと思います。

平間:木製サッシフォーラムも今回で12回目を迎えましたが,これほど雪が少ないときはなかったと思います。ご講演いただいた話の中でも「環境」という言葉が何度か聞かれましたが,これからは環境問題も視野に入れなければ新しい商品開発はできません。その点では「環境」と「エイジング」はリンクしていると思いますが,吉野さん「エイジング」を意識した外壁材はあるのでしょうか。

吉野:「エイジング」は昔からあるもので自然素材,焼き物などの無機質のものが一般的にエイジング効果があるといわれております。しかし美観の観点から「汚れ」が非常に影響を及ぼしています。均一に汚れていればそれほど目立ちませんが,部分的に汚れていると美観上目立ちます。外壁材,もしくは建物そのものも長く美しい状態を持続させることはひいては環境負荷にも貢献します。先ほど高柳さんが「木製ガレージドアを塗装しないのが日本人だ」と言っておられましたが,手間と時間はかかりますが塗装をすることによってこれだけ美しさが持続します,ということを訴えていくことが求められています。これからは末端ユーザーの教育と理解が必要だと思います。

平間:最後になりますが会場の中でどなたかご質問,ご意見,ご要望がありましたらお受けします。



写真2 下見板張りの木造住宅

会場:吉野さんのスライドで,木造学校のような外壁材の写真があったと思います。この下見板は,メンテナンスをほとんど行われていないと思いますが,何年くらいもつのでしょうか。

吉野:これは学校ではないのですが,このような使い方をして何年くらい持つのか,林産試験場さんで教えて頂きたいです。例えば,私の自宅にある木製サッシは3~4年毎に塗装をして20年くらい経ちますが一体何年くらい耐久性があるのでしょうか。

菊地(林産試):吉野さんの方からのご質問ですが,これはメンテナンス次第です。メンテナンスが良ければ住宅の躯体(くたい)と同じように持つと私たちは考えております。

石井(林産試):これは,メンテナンスと構造的な問題で,条件次第です。日本では寺社,仏閣には何千年以上と経っている窓がありますし,ヨーロッパに行くと何百年経ってもいまだに使われている窓があります。これは,水が溜まりにくい構造になっていること,日差しや紫外線をある程度遮るような構造になっているからです。ですから,2つの条件が満たされていれば住宅の躯体と同じように持つと思います。

平間:それでは,最後に4人の講師の先生方から一言ずつ頂きたいと思います。今回の講演内容は多岐にわたっておりますが「環境問題」をキーワードとして,木製品を視点としてユーザーにどのように働きかけたら良いのか。一言ずつ頂きたいと思います。

高柳:木製品を作りたいと思っても素材を販売しているところが少ない。もっと身近に木材の仕入れができれば良いと思います。

平井:木製サッシは,北海道では断熱サッシとして扱っていますが,これに遮熱性を備えて高柳さんの言うように,本州に売り込みたいと思います。

金森:北海道の林業を守る意味では,「木づかい運動」「顔の見える木材での家づくり」などの取組みが行われています。北海道の山で育てた木を北海道で使っていくような,循環できる森林作りの一端として尽力していければと思っています。

吉野:私は,無機質のセメント系を扱った研究をしていましたので,木製品といえば自宅に木製サッシがあるぐらいで木材のことは分かりませんが,セメントに木片を混ぜた外壁材は寒冷地での耐久性が非常に優れています。以前,林産試験場でカラマツセメントボードを開発したことがあります。北海道では年間で戸建て住宅は数万戸建っていますが,北海道で製造されている外装材はほとんどなく,ALCを製造している1社だけで,サイディングボードを作っている工場はありません。是非,北海道の材料を使って耐久性に優れたボードを製造してもらいたいと思います。また,これが再利用できればさらに良いと思っております。

平間:ありがとうございました。これを励みに研究活動を活発にしていきたいと思います。本日はお忙しい中ありがとうございました。

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