(文責:林産試験場 企画指導部 石倉信介) |
|
A:木質ペレットは,細かいおがくずに圧力を加えて小さく円柱状に固めたものです。大きさは,直径6~8mm,長さは15~20mm程度です。原料とする木の部位の違いによりいくつかの種類に分けられ,木の皮を原料にして作ったバークペレット,皮付きの幹や枝全体を原料にした全木ペレット,皮をはいで幹だけを原料にしたホワイトペレットの3種類があります。3種類で燃え方はそれほど変わりありませんが,灰の出る量に違いがあります。
道内には,滝上町,伊達市(旧大滝村),厚沢部町,足寄町の4か所にペレット工場があり,全木ペレットとホワイトペレットが製造されています。(付記:平成19年7月現在では,苫小牧市,むかわ町,南幌町,月形町を加えた8か所の工場で稼働中。)
A:平成17年2月~8月に,ストーブメーカー,ペレット生産者,住宅メーカー,試験研究機関が参集し,売れるストーブを作ろうと,「北海道型ペレット燃焼機器の開発指針」が提案されました。「北海道型」とは,「道内で製造されたもの」「十分な暖房能力を有し,燃焼継続時間が8時間以上のもの」「耐久性を有し,取扱いや木灰処理が容易なもの」「炎が良く見えるように,ガラス面が大きく,デザイン性に富んだもの」とされています。林産試験場では,ストーブメーカーと共同で,これらの要求される仕様や性能を満たすよう北海道型ペレットストーブの設計を進めました。
A:現在流通している多くのペレットストーブは,ペレットの貯蔵タンクを内蔵していることから灯油ストーブなどと比較して外形寸法がとても大きくできています。ペレットタンクがストーブの後側にあるタイプがほとんどで,奥行きが50~60cmあります。この寸法だと部屋に設置した時,壁から大きく張り出して圧迫感を感じてしまいます。また,奥行きだけでなくストーブの高さについても考えなくてはなりません。ペレットの補給口はストーブの上面にありますので,ストーブの背丈が高くなるとペレットを補給しづらくなるからです。物を投入する動作において,効率の良い高さは床面から60~70cmくらいです。これより低くても,または高くても作業性は悪くなります。この奥行きと高さを考慮して外形寸法を幅90cm高さ70cm奥行き30cmとして設計を進めました。
北海道型ペレットストーブの試作機
A:ストーブの燃焼方法は,石油ストーブと同じFF式です。木質ペレットを燃やすので灰が出るところが石油ストーブと異なるところです。この灰の処理は,ストーブを使った時間やペレットの種類にもよりますが,月に一回程度必要となります。
A:価格は,製造コストが決まっているので流通の仕組みを整えて全体のコストを下げることが一番の目標になると考えます。北海道型ペレットストーブは,平成19年の秋に発売される予定で(付記:共同研究企業の生産体制の都合から,発売は19年12月頃になりそうです),価格はオープン価格の予定です。近年の石油価格の高騰により,道民の木質ペレットへの関心が非常に高まっています。このストーブが,木質バイオマス普及のきっかけになることが期待されます。
|
A:林産試験場では,平成15年に建築基準法が改正されて以降の新築住宅と学校を100件ほど測定しました。その結果は,ホルムアルデヒド,トルエン,テトラデカンといった化学物質が室内濃度指針値を超えた例はわずかなものでした。建築基準法が改正される以前は,国の調査結果によると,ホルムアルデヒドの室内濃度指針値を超える住宅が28%ほどでしたから,かなり改善されたと言えます。
A:新築,リフォーム完成直後は,一般的に化学物質の濃度が高いので換気の必要があります。特に冬に入居する人は,塗料やワックスなどの乾きが遅いので,通常より頻繁に窓をあけ,機械換気の場合では1か月ほど強めに運転するなど,換気に気をつけることが大切です。実際,林産試験場が調査した例では,冬にホルムアルデヒド,トルエン,テトラデカンが指針値を超えていた住宅が,1か月ほど十分換気した結果,測定できない程度まで下がりました。
また,じわじわと時間をかけて放散する化学物質もあるので,入居後ある程度時間がたってからでも,換気することが必要といえます。
A:塗料のように家具等の表面に塗られたものから化学物質が出る場合は,比較的早く放散してなくなります。しかし,木材の張り合わせ等に使われる接着剤から出る場合は,木材の中を通ってじわじわとかなり長い期間放散が続きます。学校で10年以上使用していた椅子から,かなりの濃度のホルムアルデヒドが測定された例もあります。家具などを購入する場合は,「ホルムアルデヒドの放散量が少ない」などの表示のあるものを選ぶことや,実際に臭いをかいでみることも良いかもしれません。
A:接着材や塗料,合板などには,日本工業規格JISや日本農林規格JASで決められたホルムアルデヒドがほとんど出ないF☆☆☆☆の製品や,トルエンなどを含まない水性塗料などが増えてきました。家庭で使用される場合は,このような対策製品が安全だと思われます。
F☆☆☆☆について少し詳しく説明すると,JISやJASにおいてホルムアルデヒドがどれほど放散するかを放散速度の測定により判定する試験方法が定められており,試験結果の表示に,放散速度の早いもの(放散量の大きいもの)から順にF☆,F☆☆,F☆☆☆,F☆☆☆☆のマークを用いています。接着剤,塗料の入れ物や合板,ボード類の表面にはこのマークが表示されています。誰が見てもすぐにこれと分かります。
室内空気質を良好に保つための三原則
(「室内の空気をきれいにするために」より)
A:林産試験場では,化学物質を吸着する材料や,光触媒による化学物質の分解などの研究を進めています。そしてこれらの技術の応用により,より安全で簡単に安く対策が取れる方法を検討しています。
今回お伝えした内容については,「室内の空気をきれいにするために」(http://www.fpri.hro.or.jp/yomimono/VOC/index.html)という特集にまとめ,林産試験場のホームページに掲載しています。シックハウスの原因物質,新築・リフォーム時の対策など,より分かりやすく説明しているので,参考にしてください。(以上)