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林産試だより2007年11月号 Q&A 先月の技術相談から 全乾法による木材の含水率測定について  

Q&A 先月の技術相談から

全乾法による木材の含水率測定について


Q:携帯型含水率計で木材の含水率を測定しているが,含水率計に不具合が出たため全乾法で測定したいので,その場合の含水率の算出式を教えてください。


A:木材における含水率は,式(1)に示すように,「全乾状態の木材重量に対する,水分の重量の割合」で表します。


  含水率の計算式 1

 全乾重量とは,105℃に設定した恒温器に木材を置いて,重量変化がなくなったときの重量のことです。全乾で500gの木材に500gの水分が含まれていた場合は含水率100%となります(図1)。


図1 木材の含水率

 これは「食塩水の濃度」のように「全体の重量に対する割合」で表すのとは異なるので注意が必要です。 さて,式(1)を見ると,一見難しそうですが,この式を変形すると,以下になります。


  含水率の計算式 2

 この式は,私たちが日常の乾燥業務において,電卓で計算する際に使用しているものです。以下に具体的な例を挙げて説明します。

 (例1)サンプル材の両端から一つずつ小片を切り出したところ,a:320g,b:371gであった。これらを全乾したら,a:143g,b:164gになった。サンプル材の含水率は何%と推定されるか(図2)。


図2 サンプル材

1.小片aについて,電卓でまず320÷143を計算します。答えは2.2377…です。
2.2.2377から1を引き,出てきた答えを100倍します。つまり,
  2.2377-1=1.2377; 1.2377×100=123.77
3.答の小数点第2位を四捨五入して含水率を求めます。小片aの含水率は123.8%です。
4.小片bも同様に計算し126.2%となります。
5.2つの小片の平均値をとり,サンプル材の含水率は125.0%と推定されます。
 さらに,式(1')から,材が含水率u(%)のとき全乾重量を推定することができます(式(2))。


  全乾重量の推定式   

 これは人工乾燥のスケジュールを組み立てたり,調整したりするときに必要な,サンプル材の全乾重量を推定するときに使います。

 (例2)125.0%と推定された,例1のサンプル材が2450gだったときの全乾重量の推定値はいくらか。

1.電卓で,2450×100を計算します。(245000)
2.答えを「125.0に100を足した値」で割ります。
 245000÷225.0=1089 (小数点第1位を四捨五入)
 これで全乾重量が1089gと計算で推定されます。
3.検算として,式(1')で含水率を計算してみます。
 (2450÷1089-1)×100=124.9970 ≒125.0(%)
 これで推定した全乾重量1089gと一致したことがわかります。

 ところで,含水率計はどのくらいの精度なのでしょうか?詳細は省略しますが,(財)日本住宅・木材技術センターの性能基準では,携帯型高周波式含水率計は±2%以内となっています。

 図3に全乾法と比較した一例を示します1)。使用機器,材種によって結果は異なりますが,この測定条件では含水率が高くなれば値はばらつくようです。含水率計は瞬時に値が出るのでとても便利ですが,全乾法で求めた含水率と比較することも必要のようです。


図3 高周波容量式含水率計の測定精度

参考文献

1) 近藤佳秀:木工機械グラフ,32(8),24-2(2000).

(技術部製材乾燥科 大崎久司)

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