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林産試だより2007年11月号 職場紹介 利用部 再生利用科

職場紹介

利用部 再生利用科

 再生利用科は,木質廃棄物の3R(Reduce:削減,Reuse:再利用,Recycle:再生利用)と,環境保全を目指した調査や研究を行っています。しかし,現状において,再利用(リユース)はコスト上,難しい状況にあります。一方,再生利用(リサイクル)は,木材の性能を上げるための処理により,防腐剤など木材以外の成分が含まれている場合もあり,用途に応じて適正な分別が必要となります。再生利用科では,「CCA処理木材分別の手引き」を発行するなど,適正なリサイクル方法の提案を行っています。

 最近の研究内容


1.リサイクルシステムに関する調査・研究

 廃木材の円滑なリサイクルを進めるため,資源量の推計,リサイクルの実態調査を基にしたシステム提案を行っています。「建設リサイクル法」でリサイクルが義務付けられている建設廃木材については,温暖化対策や石油の価格高騰によって工場での燃料利用が進み,道内全体のリサイクル率は上昇しているものの,地域によって需給ギャップがみられるなどの問題があります。この対策として,廃材チップの輸送システムの改善などを提案しています。また,台風など大雨によって発生する流木の処理が問題となっていることから,海岸漂着流木のリサイクルシステムを構築するための研究を環境省の研究費で平成19年度より始めています。

2.建設廃木材の糖化(エタノール原料)に関する研究

 過去に林産試験場の前身,北海道立林業指導所によって「北海道法」と呼ばれる木材糖化法(木材中のセルロースからグルコースを得る方法)が開発されましたが,その後情勢が変わり糖化の研究はほとんどされてきませんでした。この木材糖化の技術が,バイオエタノールの生産に向け,再び注目されるようになっています。現在の原料は食料と競合することから,直接食料とならない木材などを糖化してエタノールを生産する必要性が出てきたためです。しかし,木材を糖化するにはコストもかさむため,建築解体材などの廃木材の利用が考えられています。原料を購入するのではなく,廃棄物として処理料金を取ることで,コストを埋め合わせるという考え方です。ただし,解体材には木材以外の成分も含まれる可能性があります。
 そこで再生利用科では,過去の北海道法を参考に濃硫酸を用い,CCA処理木材や接着剤が含まれる合板の糖化を行っています。これらの処理された木材も無処理のものと同様に,濃硫酸により糖化は可能ですが,糖以外の成分も硫酸に溶け出ることになり,それらの分離が課題となります。

 

写真 左:CCA処理木粉,右:濃硫酸により液化した木粉

3.CCA処理木材の有効利用法の検討

 CCA処理木材を糖化すると,CCA成分も硫酸に溶出し,糖,硫酸,CCA成分の3者の分離が難しくなることから,あらかじめCCA成分を除去することの検討を始めました。具体的には0.5~45%の硫酸を用い,常温でCCA処理木材を浸漬(せき)することで,CCA成分だけを溶出させてしまおうということです。溶出させたCCA成分と硫酸の分離については,北海道大学大学院農学研究院と北海道環境科学研究センターの協力を得ながら検討しています。なお,この研究は財団法人トステム建材産業振興財団による研究助成により行っています。

4.その他

 再生利用科では,家畜敷料に関する研究も行っています。従来の工場残材である樹皮や鋸屑(のこくず)に加え,間伐材等を専用機で加工した機械製造おが粉やカールマット(チップ)なども敷料やたい肥化の水分調整材として利用されています。しかし,木材は分解されにくいことから,木質たい肥の利用に否定的な農家もいるため,敷料としての性能を明らかにするとともに,適切なたい肥化方法を指導することで需要拡大にも貢献しています。

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