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林産試だより2007年12月号 「NHKおはようもぎたてラジオ便-北海道森物語-」林産試版

 

「NHKおはようもぎたてラジオ便-北海道森物語-」林産試版

企画指導部 普及課



 本誌では,2007年10月号から,NHKのラジオ番組に取り上げられている林産試験場の研究情報について,番組でのやり取りを再現してお伝えしています。今月号は,平成19年3月および5月に放送された2回分についてお伝えします。

(担当:林産試験場 企画指導部普及課)



木質炭化物の様々な機能

出演:利用部化学加工科長 本間 千晶
放送日:平成19年3月28日




 燃料以外の様々な用途


Q:林産試験場では,木質炭化物の様々な機能について研究していると聞いています。木質炭化物とはいわゆる木炭のことを言っているものと思います。木炭というとキャンプ場や焼鳥屋さん等で利用されているのが思い浮かびますが,それ以外に様々な機能を持っているということですね?

A:燃料としての用途は,現在の木炭需要においても最も大きな割合を占めています。そのため,木炭といえば燃料を連想される方が多いと思いますが,木炭は燃料としての特性以外にも,脱臭や調湿など多くの優れた効用を持っており,近年それらの性質が注目されるようになりました。

Q:身近なところでは,住宅のトイレ等の脱臭に木炭が使われていますよね。なぜ最近そのような機能が注目されてきたのでしょうか。

A:住宅のトイレ等の悪臭の他に,シックハウス症候群で問題となっているトルエン,ホルマリンといった有害成分を吸着する機能があります。湿度の高いときには吸湿,低いときには放湿する機能を利用して,床下調湿材としても使われています。また,水を吸着せず油のみを選択的に吸着する商品が油吸着材として販売されています。農地では,融雪材,土壌改良材として使われています。

 ただこれは,一種類の木炭が全ての機能を発揮するわけではなく,求める機能に応じて製造条件が異なります。製造技術の進歩・多様化の他,分析・評価技術の発達により,どのような機能をもっているか,より的確に評価できるようになったことも木炭の活用に幅を持たせた要因といえるかと思います。


 木炭は環境に優しい燃料


Q:木炭は燃料としての需要が多いとのことですが,他の燃料と比べて環境に優しいといいます。この点について説明してください。

A:石油,ガスといった化石燃料を用いた場合,燃焼により放出された炭酸ガスは元の燃料に戻すことができず,大気中に増え続けることになります。一方,木炭は,木材が原料です。樹木は成長に伴い炭酸ガスを木材として固定化する再生可能な資源であることから,植林等により森林が維持される限り,資源として枯渇しないことや地球温暖化に結びつく炭酸ガスのバランスを崩さないことが期待されます。また,NOx,SOxといった有害物質を放出しない点も環境に優しいといえるでしょう。


 レジャー用に適した黒炭,業務用に適した白炭


Q:燃料として使用する場合も,炭化の条件によって性質が違うということですか?

A:ホームセンター等で見かけるものの多くは600~800℃で処理されたもの(黒炭)です。これは火付きが良く,より早く燃焼温度が上昇する代わりに,燃焼時間は短くなります。1000℃程で処理され,炭化の度合いが進んだもの(白炭,備長炭)は,燃焼温度の上昇が緩やかで,燃焼時間は長い傾向がみられます。

 レジャーでの使用では,燃焼時間は短くても早く温度が上昇する木炭(黒炭)の方が使いやすく,逆に業務用では燃焼時間が長い木炭(白炭等)の方が良いということになります。



 炭化物の性質の違いと,林産試験場の取り組み


Q:臭いの元になる物質には様々なものがあります。臭いの吸着についてもやはり木炭の製造条件により機能の違いがあるのでしょうか?



木質炭化物による塩基性ガス吸着剤

A:臭いの吸着についても,木炭の製造条件によって吸着しやすい臭い物質が異なります。臭いの元になる物質には様々なものがありますが,例えばトイレや家畜のふん尿の臭いの主な成分であるアンモニアを吸着するためには300~400℃で熱処理した材料が適しています。一方,塗料や接着剤に含まれ,シックハウスの原因の一つといわれるトルエンを吸着するには,600~800℃前後で炭化した材料が適しています。見た目には同じような黒色で見分けづらいのですが,300℃で処理した材料はトルエンをほとんど吸着しませんし,800℃で処理した材料はアンモニアをほとんど吸着しないというように,製造条件が違うと全く違った性質になってしまいます。

 林産試験場ではこれまでに,油吸着材,アンモニア吸着材等の開発を行っていますが,より便利に利用していただくために,今後も技術開発や普及に取り組みたいと考えています。





木質ペレットとペレットストーブ

出演:利用部物性利用科研究職員 折橋 健
放送日:平成19年5月23日




 木質ペレット,ペレットストーブとはどんなもの?


Q:木質ペレットとペレットストーブとはどのようなものでしょうか?

A:まず木質ペレットですが,これは,木材や樹皮を原料とする一種の固形燃料です。木材や樹皮の粉砕物を圧縮・成型して作られており,一粒ひとつぶがタバコのフィルター部分のような形状をしています。また,ペレットストーブですが,家庭向けや事業所向けに様々な製品があります。大きさは,家庭向けでは家庭用の灯油ストーブと比べて若干大きめで,小型冷蔵庫や小型洗濯機くらいのものです。

Q:最近,木質ペレットやペレットストーブが注目されているそうですが,それはどうしてですか?

A:それは,それらの使用が森林資源の有効利用,地域経済の活性化,地球温暖化の抑止につながるからです。すなわち,木質ペレットは,製材工場から出るおが粉や樹皮などの製材くず,また山に残されることの多い細い間伐材などを原料にすることができるため,森林資源の有効利用になります。また,木質ペレットやペレットストーブが普及することにより,それに関係する地域の経済活動が盛んになると期待されます。また,地球温暖化を防ぐ観点から,化石燃料に代わるバイオエタノールやバイオディーゼルなどのバイオ燃料が注目されていますが,木質ペレットもこれらと同様,環境に優しいエネルギーと言えます。


 ペレットストーブの使いごこちは?


Q:折橋さんは,自宅でペレットストーブを使用されているそうですが,ストーブの操作や部屋の暖まり具合はどんな感じですか?

A:ペレットストーブには,始動・停止や火力調整等の操作において,手動式のもの,一部が電気式のもの,ほぼ全部が電気式のものなど,様々な機種があります。私が使用しているストーブは,始動・停止が電気式で,操作は操作盤上のスイッチを押すだけです。また,部屋の暖まり具合は,一般に広く利用されている灯油ストーブと比べて遜色(そんしょく)はないと感じました。



使用したペレット(左)とストーブ(右)


Q:電気を使っての始動など,灯油ストーブとあまり変わりなく使用できるように感じますが,灯油ストーブとペレットストーブで何か大きな違いはありますか?

A:ペレットストーブの使用にあたっては,灯油ストーブと異なり,定期的な作業(メンテナンス)が必要となります。主なものには,燃料タンクへのペレットの人力での補充,燃焼室や灰受けにたまる灰の掃除があります。ペレットストーブには,灯油ストーブのような大型の燃料タンクがありません。また,原料が木材や樹皮ですので,燃やすと灰が出ます。一般家庭では,冬場,1日1回のペレットの補充,週に1回の灰の掃除が必要になるかと予想されますが,こうした作業を面倒と思うか否かによって,ペレットストーブに対する評価が分かれるところではないかと思います。


 木質ペレット・ペレットストーブを普及させるためには


Q:木質ペレットやペレットストーブを普及させていくにはどのような課題があるでしょうか?

A:ペレットストーブ普及への一番の課題は,灯油ストーブの使用と比べて,ストーブ価格,燃料代のいずれをとっても,割高なことかと思います。まだまだ市場規模が小さいことから,ストーブ,燃料ともに製造コストが掛かり増しになっているものと思います。しかし,木質ペレットやペレットストーブの利用は,地域経済や環境面での大きなメリットがあることから,まずは輸送コストの低いペレット工場近くで普及が進むことを期待しています。道や林産試験場でも普及活動を行っていますが,今後も地道に活動を続けていきたいと思います。


 ペレットストーブ,現物が見てみたい


Q:木質資源のあるところで実証的に使われていくことが大事なのですね。ストーブシーズンは過ぎたところですが,冬に向けて見ておく価値がありそうです。どこかペレットストーブを見ることができる場所はありますか?

A:道の施設では,札幌市の北海道庁本館,旭川市の林産試験場「木と暮らしの情報館」,函館市の林業試験場道南支場,帯広市の十勝支庁,当別町の石狩森づくりセンターなどで通年見ることができます。

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