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林産試だより2007年12月号 連載「道産木材データベース」

 

連載「道産木材データベース」


はじめに
 林産試験場ホームページに「道産木材データベース」を立ち上げる計画があります。問い合わせの多い「木材の性質」や「木材の用途」のほか,木材の元となる樹木の形状や生態的特徴について,樹種ごとに整理するものです。また,林産試験場が刊行した論文の樹種ごと,研究分野ごとの検索ができる仕組みも持たせる予定です。
 データベースでの公開は,一定数の樹種がそろってからとなりますが,その前に,一つの樹種の整理がつく都度,その記事部分を「林産試だより」に連載することにしました。
 なお,このデータベースに掲載する木材の性質に関する数値は,断りのない限り,(社)日本木材加工技術協会発行の「日本の木材」から引用しています。そのほか,木材の用途や樹木の形態・生態等の取りまとめに当たり,文末にある多くの文献を参考にしています。

(担当:企画指導部普及課 鈴木・石倉)



 用語「木材の性質」


 「日本の木材」より引用した「木材の性質」の種類とその意味合いは以下のとおりです。

気乾比重  周辺空気の湿度と木材中の水分がつり合って木材の質量が一定期間変化しなくなったときの含水率「平衡含水率=気乾含水率」における比重(同体積4℃の純水の質量との比)。気乾密度という場合は単位容積当たりの質量(g/cm3)。
平均収縮率  含水率1%当たりの収縮率。気乾状態と全乾状態での寸法の変化量(含水率1%見合分に換算)を含水率15%時の基準寸法に対する割合(%)で表したもの。木目の方向により収縮率は異なり,その関係は,おおよそ接線方向1に対し,放射(半径)方向1/2,長さ方向1/10~1/20とされる。また収縮率は一般に針葉樹より広葉樹が大きく,比重の高い材ほど大きい傾向がある。
曲げヤング係数  材料に曲げ荷重が加わったときのたわみにくさを表す係数。この係数が大きいほどたわみにくい。試験では柾目面に荷重を加える。
曲げ強さ  材料に曲げ荷重が加えられ,破壊するときの応力。試験では柾目面に荷重を加える。一般に比重が高いほど強い傾向がある。
圧縮強さ  材料に圧縮力が加えられ,破壊するときの応力。本データベースでは,縦圧縮(繊維方向の圧縮)の数値を表す。
せん断強さ  材料に繊維同士の結合を断ち切ろうとする力(せん断力)が加えられ,破壊するときの応力。おおよそ圧縮強さの5分の1程度となる。
人工乾燥の難易  乾燥技術の難易度,あるいは乾燥による割れや狂いなどの出やすさをいう。難易度については容易,比較的容易,中庸,やや困難,困難,極めて困難,に区分。
割裂性  材料の繊維にそっての割れやすさをいう。小,中庸,大,に区分。
切削その他の加工性  切る,削る,掘るなど加工のしやすさをいう。極めて容易,容易,比較的容易,中庸,やや困難,困難,に区分。
表面仕上  かんな掛け表面の仕上がり具合の良否をいう。極めて良い,良好,中庸,やや不良,不良,に区分。
保存性  腐りにくさをいう。試験では恒温・恒湿下で特定の腐朽菌により木材を強制的に腐らせ,試料の質量減少率を測定する。極めて低い,特に低い,低い,中庸,高い,極めて高い,に区分。




トドマツ


トドマツ樹形


名称 和名:トドマツ  アイヌ語名:フップ  漢字表記:椴松
英名 Todo fir,Sakhalin fir
学名 Abies sachalinensis (Fr.Schm.)Masters
分類 マツ科モミ属
分布 北海道,南千島,サハリン
生態・形態 地域によるが,海岸近くから高標高まで分布し,多くは広葉樹やエゾマツなどと混交林をつくる。北海道において最も蓄積の多い樹種であり,人工林,天然林あわせて道内総蓄積の約4分の1,針葉樹蓄積の約2分の1を占める。人工林は80万haほどあり,道内人工林面積の約5割を占める。
 高さ30m,太さ60cmほどになる。枝は6,7本が輪生状にほぼ水平かやや斜め上に出る。耐陰性が強く,葉の寿命は8年程度。植物学上は球果の形態変異からアカトドマツ(北東部に多い)とアオトドマツ(南西部に多い)に分けられるが,連続的な変異であり明確な分布域の区分はできない。材利用上の区分点もない。ただし,寒風害・雪害・一部病害に対する抵抗性等に産地間差が見られることから,北海道では造林用苗木の需給区分(移動規制)の対象となっている。

左:樹皮
中央:枝(林生枝)
右:葉


木材の性質 年輪が比較的はっきりしている。心材と辺材の色の差は明瞭でなく,一様に白色あるいはごく淡い黄白色である。木理が通直で比較的軽軟なので,割裂性,切削・加工性がよく,人工乾燥も容易である。傷害樹脂道,やにつぼ,入皮,節,あてなどの欠点が現れることがあり,心材部でも辺材部と同じように高い含水率をもつ水食材もよく出る。耐朽性は低めである。


左:木口面
中央:板目面
右:柾目面


主な用途 建築材,パルプ材が主体。土木材,器具材,包装用材としても一般的。以前は,魚箱としての使用が多く,白い色が好まれたことから卒塔婆(そとば),お棺の材料にもよく使われた。最近では,燃料(ペレット)使用も増えている。生産される丸太のほとんどが道内で加工される。北海道では,昔からエゾマツとともに建築の主材料として使われ,本州のスギ,ヒノキのように取り扱われてきた。日本産のモミ類の中で建築の主材料として扱われているのはトドマツにほぼ限られる。


表 物理的・機械的・加工的性質


林産試験場によるトドマツ材を利用した研究成果品

左上:道産?T形梁(フランジ部分に使用) 
右上:SPB(ストランドパーティクルボード)
下:内装用合板


引用(木材の性質に関する数値)

・日本の木材:(社)日本木材加工技術協会 1989

参考

・原色日本植物図鑑 木本編【II】:北村四郎・村田源 保育社 1979 
・北海道樹木図鑑:佐藤孝夫 亜璃西社 1990
・平成17年度北海道林業統計:北海道水産林務部 2006 
・(財)日本木材総合情報センター:http://www.jawic.or.jp

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