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林産試だより2007年12月号 Q&A 先月の技術相談から 木材のアセチル化について  

Q&A 先月の技術相談から

木材のアセチル化について


Q:木材のアセチル化とは,どういうものですか。処理を行うには,どのような設備・配慮が必要ですか。


A:アセチル化は,食酢の成分である酢酸と木材成分を反応させて結びつける処理です。見た目や風合いは無処理木材とほとんど変わらず,耐朽性や寸法安定性などが大きく向上します(図1)。

 また,基本的に食酢の成分しか含まないため,人や環境に対して安全・安心な処理と言えます。

 そうはいっても,アセチル化の作業には,強い刺激臭や腐食性がある薬剤(通常,無水酢酸という薬剤)を用いますので,取り扱いや処理設備には十分な配慮が必要となります。

 また,アセチル化に限らず,薬剤処理は高コストになりがちですので,いかにコストを抑えて処理を行うかも重要な要素になります。


 アセチル化には,様々な処理方法が提案されていますが,まずは基本的な処理工程について説明します。

1.木材と薬剤の仕込み:処理容器に木材と処理薬剤を入れます。このとき木材は,できるだけ乾燥(含水率10%以下)させておきます。これは,処理薬剤である無水酢酸が,水分と反応する性質があるためです。処理容器や配管・パッキンには,耐酸・耐食性の高い材質(SUS316L,PTFEなど)を使用します。木材への処理薬剤のしみ込ませ方には,(1)減・加圧注入,(2)常圧浸せき(ドブ漬け),(3)薬剤蒸気処理(気相処理)などがあり,どの方法を選ぶかで,必要な設備や処理コストが大きく変わります。

2.処理温度と時間:処理容器を120~140℃程度に温めて反応を行います。処理時間は木材の種類や形状によって調整することになりますが,数時間~数十時間です。なお,触媒を使用することで,処理温度・時間を大きく低下・短縮させることもできます。

3.薬剤除去:所定時間反応後,木材を取り出します。木材内には,未反応の無水酢酸や副生成物の酢酸が含まれていますので,水洗や乾燥によって除去します。

4.仕上げ:仕上げ加工を行います。アセチル化に伴って,木材は元の寸法より膨潤した状態になりますので,切削などを行って仕上げます。

 簡単に書くと以上ですが,実生産するには,処理の手間,安全性の確保,新たな設備の導入コスト,薬剤コストなど多くの課題があります。林産試験場では,アセチル化をできるだけ簡便に行う方法について検討を行っています。たとえば,処理薬剤を蒸気にして処理する方法に着目しました(図2)。


 図のように,薬剤を蒸気にして木材を処理することで,設備導入コストや薬剤コストを低減できる可能性があります。さらに,現有する木材乾燥機を加熱装置として流用して,この中に処理容器を収納できれば,新たに必要な設備を減らすことができ,処理自体も木材乾燥と同様の操作で行えると期待されます。

 現在,薬剤蒸気によりアセチル化した木材の性能評価,処理装置の安全性など,実用化を目指した開発を進めています。詳細につきましては,お問い合わせいただければと思います。

(利用部化学加工科 長谷川祐)

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