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「NHKおはようもぎたてラジオ便-北海道森物語-」林産試版

企画指導部 普及課



 林産試験場の研究職員がNHKのラジオ番組に出演して提供した最新の研究情報について,番組でのやり取りを再現してお伝えしています。

(扱い:企画指導部普及課)



カラマツおが粉でも栽培できる道産きのこ

出演:きのこ部生産技術科長 米山 彰造
放送日:平成19年11月28日




 きのこ栽培,おが粉の役割は培地の空隙(くうげき)と水分の保持


NHK  今朝のテーマは,これまであまり利用されなかったカラマツのおが粉を使って行う道産きのこの栽培についてです。まず,きのこの栽培はふつうどのような材料を使って行うものなのでしょうか?

米山  基本的には,おが粉と栄養材と水を使います。これらを適度に混合したものを培地といい,ビンや袋に入れて使います。おが粉は培地の空隙や水分保持の役割を担っています。
 栄養材には,米ぬかのほか小麦製粉の時にでるフスマと呼ばれる皮のくず,とうもろこしの胚芽部分や芯,大豆油製造時にでる副産物などが使用されています。栄養材はきのこの菌糸が分解吸収し,将来きのこになるもとを作る原料となります。


 広葉樹おが粉と針葉樹おが粉,きのこはおが粉をえらぶ


NHK  ふかふかしているおが粉は,空隙や水分の保持にはもってこいと言えそうですね。きのこ栽培にはどのような種類のおが粉が使用されているのですか?

米山  道内では,シラカバ等のカンバ類やミズナラ等のナラ類,ブナ等の広葉樹のおが粉と,カラマツ,トドマツ,エゾマツ等の針葉樹のおが粉が使用されています。きのこの種類によって適したおが粉が異なり,マイタケ,ナメコ,シイタケではカンバ類,ナラ類等のおが粉が適し,エノキタケ,ヒラタケ,エリンギでは針葉樹のおが粉が適していることが,林産試験場等の研究や生産現場での経験等から明らかになっています。


 きのこ栽培には使いにくかったカラマツおが粉


NHK  おが粉の種類によって適したきのこが異なるということですね。今回は,カラマツのおが粉でも栽培できる道産きのこがテーマですが,カラマツおが粉はなぜ今まではあまり利用されなかったのでしょうか?

米山  林産試験場では平成14年,カラマツおが粉のきのこ栽培使用について研究を始めました。
 そもそもカラマツおが粉は豊富な間伐材が利用できるので,まとまった量を安く入手しやすい材料と言えます。しかしながら,カラマツおが粉にはきのこの菌の生育を妨害する成分が多く含まれます。そのため,きのこ生産にカラマツおが粉を使う場合には,前処理として,おが粉を長期間屋外に積み,散水等を行って妨害物質を取り除くというひと手間が必要でした。
 そこで林産試験場では手間をかけなくてもカラマツおが粉が使用できるよう,前処理をしていないカラマツおが粉を培地に混ぜて栽培試験を繰り返し,品質がよく,収量性に優れた菌の選抜を行いました。そして目的としていたカラマツおが粉に適した品種の育成に成功しています。


 カラマツおが粉が適した品種の開発


NHK  前処理をしていないカラマツおが粉を使って作ることのできるきのこの品種には,どのようなものがあるのでしょうか?

米山  今回紹介するきのこはタモギタケ,マイタケ,ブナシメジです。
 タモギタケは質,量のみならず水煮等の加工適性にも優れたものが開発できました。
 マイタケは針葉樹おが粉の適さないきのこでしたが,今回の開発により,おが粉使用量のうちの3割程度をカラマツおが粉とすることのできる菌を育成しました。これは歯触りが格別に良い等いくつかの優れた特徴を持っています。
 ブナシメジはカラマツおが粉の使用により従来品種に比べ栽培期間が短く,品質的にも優れた品種が開発できました。




左:マイタケ「大雪華の舞1号」,中央:タモギタケ「エルム・マッシュ291」,右:ブナシメジ「マーブレ88-8」


 林産試験場の開発品種,生産してみませんか?


NHK  カラマツおが粉を使って栽培したタモギタケ,マイタケなど,家庭の食卓でも,もう食べることができるのでしょうか?

米山  タモギタケについてはすでに事業化されていますので,道内のどの量販店でも売っていると思います。また,生産企業が学校給食,外食産業等にも納入していますので,知らないうちに皆さんも食べているかもしれません。
 マイタケ,ブナシメジについては事業化はこれからです。生産の担い手をさがしていますので,興味をお持ちの方は林産試験場きのこ部までお問い合わせください。(以上)



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