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カムイウッドを使った収納式デッキの開発

企画指導部 デザイン科 川等 恒治



 はじめに


 積雪寒冷地である北海道において住宅にデッキを設置する場合,デッキ上の除排雪が居住者の大きな負担となることも多く,また勾配屋根の建物では落雪時に破損のおそれもあり,設置場所に制限を受けることがあります(図1)。



図1 デッキ上の積雪や落雪による破損の例


 そこで林産試験場では,居住者の除排雪に対する負担軽減や,雪のために設置できなかった場所への設置を可能にすることを目的として,夏期には展開して使用し,冬期にはコンパクトに収納ができるデッキの開発を行いました。ここでは,カムイ・エンジニアリング株式会社と共同で開発した収納式デッキ(写真1)について紹介したいと思います。




写真1 開発した収納式デッキ



 開発した収納式デッキの特徴


1.すべての部材を収める収納箱

 デッキを構成するすべての部材は,すっきりと収納箱に収めることができます(写真2)。この収納箱は,展開時にはデッキの一部となり,収納時にはベンチや縁台として使用できます。



写真2 収納箱(右:部材の収納状態)例


2.折り畳み可能な床板

 床板は,コンパクトに,しかも手軽に収納ができるように,折り畳み可能な構造としました(写真3)。デッキの材料に使用した木材・プラスチック複合材の「カムイウッド(カムイ・エンジニアリング株式会社製)」は中空構造となっていて,この構造を利用して隣り合う床板を連結させています。



写真3 折り畳み可能な床板


 床板は,根太の上を収納箱の方向へスライドさせることにより,収納箱の中で自動的に折り畳まれ,積み重なって収納されます(写真4)。また,収納箱から取り出すときには,一番上に収納されている床板を引き出すことで,すべての床板を一度に展開します(写真5)。押し込む・引き出すという簡単な動作だけで床板の収納・展開を行えるため,作業性は非常に高いと言えます。特に収納時は,床板がある程度自重で収納箱の中に落ちていくため,大きな力を必要としません。


写真4 床板の収納
写真をクリックすると動画が再生します(AVI形式 13.7MB)

 


写真5 床板の展開
写真をクリックすると動画が再生します(AVI形式 11.5MB)



3.組み立て式の根太・脚材

 根太と脚材の組み立ては,これらの部材を収納箱から取り出し,根太を脚材と収納箱に接合して行います。接合は,金物を使用することで簡単に行えるようにしました(写真6)。また,4本の脚材は根がらみ(脚材を連結する水平材)とともに一体化しており,そのまま収納することができるようにしたことで,組み立て・収納作業の負担が軽減されています(写真7)。

左:写真6 根太と脚材(左),根太と収納箱の接合金物
右:写真7 一体化した脚材



 おわりに


 開発した収納式デッキは,手軽に収納・展開を行うことができます。そのため,冬に収納して春に展開するだけでなく,生活スタイルに合わせたさまざまな使い方が可能になります。普段は収納してベンチとして使用し,必要なときにだけ展開したり,あるいは普段展開しておいて,そのスペースを別の用途で使用したいときには収納するといった使い方です(図2)。このようにデッキの収納機能は,限られたスペースの有効活用にもつながることから,積雪のない地域においても非常に有用です。



図2 収納機能がスペースの有効活用につながる


 今回紹介した収納式デッキの収納機構については,現在特許申請中です。今後は共同研究企業において商品化に向けた検討を進めていく予定です。



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