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「NHKおはようもぎたてラジオ便-北海道森物語-」林産試版

企画指導部 普及課



 林産試験場の職員がNHKのラジオ番組に出演し,提供した最新の研究情報について,番組でのやり取りを再現してお伝えしています。

(扱い:企画指導部普及課)



丸太をたたくと強さがわかる!
(カラマツ原木の強度区分装置と効率的な木材利用)

出演:企画指導部主任研究員 石河 周平
放送日:平成19年9月26日




 建築用材への利用が進むカラマツ


NHK  今日は,「丸太をたたくと強さが分かる!」という話題で,カラマツ材の効率的な利用につながる装置開発のお話しをしていただきます。カラマツといえば,先日のNHK総合テレビの「北海道クローズアップ」で大きく取り上げられていましたね。カラマツが宝の山になりつつあると言っていました。

石河  このカラマツは,炭坑の坑道を支える坑木を目的に戦後大々的に植林をされたものです。しかし,炭坑の閉山とともに坑木の需要が無くなり,その後,梱包(こんぽう)材やパレット材などの流通資材としての利用が主体となっていました。これが近年,林産試験場で開発をしてきた乾燥技術が普及したこともあり,建築用材への利用が進んできています。
 今日紹介するのは,カラマツの丸太(以下「原木」という)の木口をたたいて原木の強さを自動で測る「原木強度自動区分装置」についてです。建築用材としての利用の幅が広がるにつれ,今回開発をした装置が役立つものになるのではないか・・・ということをお話しします。


 木材の強度はどのように測る?


NHK  たたいて測るということですが,そもそも,木材の強度を測定しようとするとき,たたくのが当たり前のことなのでしょうか?

石河  強度の測定方法は大きく二つに分けられます。一つは,木材に力をかけて曲がった量の大きさを測定するものです。もう一つは,木材の木口面をたたいたときにでる音の周波数から強度を測るというものです(付記:音による場合は,通常,測るものの長さや密度などをあらかじめ入力しておく)。曲げる場合も音による場合も,測定のための装置は,製材品用については現在でも市販されています。  今日,紹介するものは製材品用ではなく原木用で,民間機械メーカーと共同で開発をしてきたものです。


 原木用の強度自動区分装置とは?


NHK  それでは,その新しい装置について具体的に教えてください。

石河  一般的なカラマツ製材工場では効率的に製材を行うため,太さの異なる原木を,目的の太さごとに振り分ける装置が備わっています。そこに,今回紹介する原木強度自動区分装置を後付けすることになります。
 機械の構成は,原木の木口をたたくハンマー(エアーシリンダーで駆動)と音を拾うマイクロフォンが一体となった部分,それと音の周波数解析をするソフトウェアなどを組み込んだ頭脳の部分からなります(付記:原木の強さに応じて木口に色分けをするスプレー噴射機能を付け加えることも可)。
 原木区分のための処理時間は1本当たり6~7秒とわずかで,実際の製材ラインに組み込んでも時間ロスは問題にならないものと言えます。


 メリットは強度面で効率の良い製材作業ができること


NHK  いろいろな太さの丸太が入ってくる製材工場で,太さと同時に強度ごとにも振り分けてしまうのですね。さぞかし業界の関心も高いものと思われます。丸太の強度がわかるということは,どんなメリットがあるのでしょうか?

石河  原木の強度と製材品の強度には,高い相関関係があることが分かっています。
 この装置を使用することで,近年需要が高まってきた住宅の柱・梁(はり)や集成材の原板など,強度を必要とする建築材用と,特に強度を必要としない梱包材用とに,原木段階で振り分けることができます。強い原木からは強い製材品が多く出るので,製材後の仕分けが容易となります。
 これまでは,製材にしてみなければ強度がわからなかったことから,本来であれば建築用材として十分使えるものも,梱包材などの価値の低い用途のために細かく切られて使用されていました。これはもったいないことです。

原木強度区分システム
1 フィーダー部分
2 強度測定部分
3 マーキング部分


 強度研究の発展で明るい未来のカラマツ林業・林産業


NHK  カラマツ材利用の効率化や適正化がはかられるのですね。この装置には北海道のカラマツ林業・林産業を変えていくきっかけとなるような力強さを感じますね。

石河  この装置の第一号機が,カラマツ王国として名高い十勝地方での導入が予定されています。これによりカラマツの利用目的に応じた原木の選別が行われ,集成材工場や大工・工務店が望む強度の高い製材品が安定的に供給されるようになっていくと思われます。
 また,林産試験場を含めて道内の林業林産関連の4研究機関では,19年度より農林水産省の補助事業を獲得して,共同研究「道内カラマツ資源の高度利用のための林業システムの開発」を開始しました。この研究では,木をたたいて強さを調べる技術を使って,立木の強度と造林や保育など森林施業との関係も明らかにしていくことになります。
 今回紹介した装置やこの研究を通じて,将来的には人工林の手入れの仕方が改善されたり,強度に応じたカラマツの価格形成がなされて,その利益が森林に還元されることで森林所有者の山づくりに対する意欲向上にもつながるものと期待しています。(以上)



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