本文へ移動
 

Q&A 先月の技術相談から

可視光応答型光触媒とは?


Q:室内の空気をきれいにできる材料として,最近,可視光応答型光触媒という言葉をよく聞きます。今までの光触媒とどう違うのですか?


A:酸化チタンに代表される光触媒には,光のエネルギー(紫外線)を吸収して,表面に付着した有機物を酸化分解する能力があります。光触媒自体は,反応が起こることによってなくなったりしないため,「触媒」という言葉が使われています。最近では,光触媒の機能を利用して,空気浄化,水浄化,抗菌,セルフクリーニング機能を付与した製品が数多く開発されてきます。
 酸化チタンには,アナターゼ,ルチル,ブルッカイトの結晶系がありますが,光触媒として主に利用されているのは,アナターゼ型酸化チタンです。このアナターゼ型酸化チタンの光吸収特性を示すと図1のようになります。紫外線は吸収できますが可視光線は吸収できません。このため,機能を発揮できる場所が限られていました。

 林産試験場において,屋外および室内に入る光の分布を測定してみたところ,図2のようになりました。屋外では,多くの紫外線があるものの,室内ではそのほとんどが遮断されています。一方,可視光線は比較的多く室内にあることがわかります。

 室内に入る光を有効に利用するために,紫外線だけでなく可視光線も利用できる光触媒のことを,可視光応答型光触媒と呼びます。代表的な可視光応答型光触媒に酸化チタンに窒素や硫黄を入れた(ドープした)ものがあります。酸化チタン光触媒は白色をしていますが,可視光応答型光触媒は薄い黄色をしています(写真1)。

 可視光応答型光触媒の光吸収特性を図で示してみると図3のようになります。光触媒の吸収できる波長を,可視光線の領域にまで広げることによって,利用できる光の量を増やしていることが分かります。しかし,可視光線の吸収量がそのまま光触媒活性の高さに結びつくわけではありません。どうしたら活性の高い可視光応答型光触媒ができるのか,日夜研究が続けられています。

 最近では,有機物の分解活性が高い可視光応答型光触媒も開発されてきており,室内で空気浄化機能を発揮する製品開発に期待が寄せられています。

参考資料
「光触媒の仕組みがわかる本」大谷文章 技術評論社(2003)
「入門 光触媒」 野坂芳雄 野坂篤子 東京都書(2004)
(性能部 接着塗装科 伊佐治信一)

前のページへ|次のページへ