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木質ペレットのコストダウンのための製造工程の改善

技術部 主任研究員 白川 真也



 はじめに




写真1 木質ペレット

 木質ペレット(写真1)は近年,環境的な視点や品質の良さ,自動運転が可能なペレットストーブの普及などから再び脚光を浴び始め,需要が伸びています。  一方,近年中国の高度経済成長や投機的な要因による原油価格の高騰などから,木質ペレットは同じエネルギー換算価格で灯油と対抗できるようになってきていますが,本格的な普及には,より一層のコストダウンが必要です。  木質ペレットはおが粉製造→乾燥→成形の工程を経て製造されます。この中で乾燥工程は一般的に多大な設備投資とランニングコスト,人件費を要します。そこで,本研究では木質ペレットのコストダウンを図るため,乾燥工程の省力化・省エネルギー化に着目し,乾燥室内に設置するローコストなおが粉乾燥装置に供給・排出機能を付加するとともに,効率的な乾燥方法について検討を行いました。


 おが粉乾燥装置の設計試作


(1)おが粉回転攪拌乾燥装置

 試作したおが粉回転攪拌(かくはん)装置を図1に示します。これは全長1800mm×直径1000mmの回転筒に,おが粉を投入して一定時間経過後に取り出すバッチ式装置です。コストダウンのために,この装置を既存の乾燥室内に設置しておが粉を乾燥する方式で検討し,試作しました。



図1 バッチ式回転攪拌装置

 この装置では回転筒は,基台上に設けられたVプーリ上に,回転筒枠体の山形鋼リングにて支持され,モータ駆動により円筒が回転するようになっています。
 回転筒内部には回転筒の軸心方向と平行に配置した攪拌用羽根が取り付けられており,投入されたおが粉の掻(か)き上げ・落下を繰り返しながら乾燥します。
 回転筒前面のふたは中間で上下に分割され,人手によりおが粉の出し入れを行う場合は下半分を解放した状態で,掻きだし・投入を行います。


(2)おが粉供給機構

 回転攪拌装置へのおが粉の供給は,スクリューコンベヤにより自動で行う方式としました(図2)。



図2 おが粉乾燥装置全体図

 搬入されたおが粉はスクリューコンベヤ下部の原料堆積用のホッパに一旦堆積され,そこからスクリューコンベヤにより回転攪拌装置上部へ搬送され,その後,円筒状のシュートを通り,回転筒へと供給されます。モータは乾燥室内が高温となることから,乾燥室上部へ設置しています。


(3)おが粉の排出機構

 回転筒内から回転筒外への排出は回転筒に排出扉を設け,回転攪拌装置架台部に設置した空気圧シリンダを乾燥室外から操作して排出扉を解放する方法としました。扉が開いた後,回転筒内のおが粉は一回転ごとに徐々に落下し,下部に設置したホッパ(写真2)にて後述する排出用スクリューコンベヤへと導かれます。



写真2 ホッパ内部
(スクリューコンベヤとブリッジ防止羽根)

 排出扉は約600mm×100mmの大きさとしました(写真3)。また,ホッパ内に大量のおが粉が堆積した場合,ブリッジを起こす可能性があるため,回転筒駆動用の動力を用いたブリッジ防止羽根をホッパ内に取り付けました。



写真3 おが粉排出扉

 なお,排出扉を閉める動作も同様に空気圧シリンダを乾燥室外から操作して行います。
 ホッパにより収集されたおが粉は乾燥室の外へ排出しますが,この部分も供給部分と同様にスクリューコンベヤを用いました。
 ここではおが粉堆積場所までの距離が長く,主軸のたわみによるケーシングとの接触が想定されましたので,主軸の中間に2箇所の摺動(しゅうどう)ベアリングを設置しました。また,ホッパ部分に堆積したおが粉の圧力がスクリューコンベヤに加わり,おが粉の嵩(かさ)密度が増加して,負荷が増大する懸念があります。このため,ホッパ部分にかかるスクリューの有効断面積をそれ以外の部分の約60%にして供給量を減少させています。


 効率的乾燥方法の検討


 おが粉乾燥装置を用いた乾燥試験を行い,換気方法や効率的乾燥による設備の縮減,乾燥前のおが粉の保管等乾燥のための燃料費の縮減について検討しました。
その結果,

(1)乾燥経過は,時間の経過に伴いほぼ直線的に含水率が低下しており,良好な経過を示しました。
(2)換気には小型換気扇を用いて常時換気することにより,温度低下防止と湿気排出が両立できると考えられました。
(3)効率的な送風方法としては,送風機の回転速度を可変とし,乾燥機の吹き込み温度と排気温度を計測して風量を調節する方法が考えらました。
(4)乾燥前のおが粉は乾燥室上部に保管するなど,余熱を利用しておが粉を暖めることが乾燥時間の短縮に効果があると考えられました。


 まとめ


 本研究成果により乾燥室に出入りする必要がなくなったことから,外部空気の流入による乾燥室温度の低下を防ぐことができ,その結果乾燥熱源の消費エネルギーコスト削減が可能となりました。また,自動化による人件費の低減も合わせ,木質ペレットのコストダウンの可能性を見いだすことができました。
 今後本研究のような小規模なおが粉乾燥装置の需要は高まると思われ,成果の普及を進める予定です。



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