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光触媒材料による空気浄化機能の評価方法について

性能部 接着塗装科 伊佐治 信一



 はじめに


光触媒には,紫外線などの光を利用して,その表面に付着した有機物を分解する機能があります。この機能を利用して,室内空気中に存在する汚染物質の濃度を低減させる製品がこれまでにも数多く作られてきました。しかし,基準となる評価方法がなかったため,それぞれの性能が比較できないなどの問題がありました。そのため,光触媒の効果を確認できる統一された試験方法が必要とされていました。このような背景の中,試験方法の整備が進められ,2008年度には試験方法が規格化(JIS)される予定になっています。
 ここでは,評価がどのように行われるのか規格試験の内容を紹介します。また,光触媒材料に関する道立試験研究機関の取り組みについても併せて紹介します。


 JIS試験の動向とその内容


 光触媒材料の空気浄化に関係する規格として,2004年に大気汚染物質である窒素酸化物の除去性能を測定する試験がJIS化されました。そして,2008年には室内空気汚染物質であるアセトアルデヒド,トルエン,ホルムアルデヒドと,悪臭物質であるメチルメルカプタンについての試験がJIS化される予定になっています。図1の中の青色で示した物質は,今回林産試験場で測定環境を整えた汚染物質です。



図1 空気浄化機能評価のJIS試験


 試験は主に流通式と呼ばれる方法で行われます。流通式試験は,光触媒を利用した材料や建材にどの程度汚染物質の除去性能があるのか評価できる内容になっています。流通式試験の概要を図2に示します。汚染物質をそれぞれ決められた濃度で発生させ,紫外線や可視光線を照射し,汚染物質の濃度低減量を測定します。図3に測定のイメージ図を示しましたが,このように光を照射したときだけ汚染物質の濃度が下がり,この低減量を測定することによって除去量を評価できます。



図2 流通式試験 測定の概要




図3 流通式試験 測定の様子


 室内で利用される建材については,小形チャンバー式試験もJIS化される予定になっています。小形チャンバーを用いた試験には,ホルムアルデヒド放散量測定(JIS A 1901)やホルムアルデヒド濃度低減性能試験(JIS A 1905)があり,室内で利用される建材の評価方法としてよく使用されています(図4)。試験では,汚染物質としてホルムアルデヒドを使用します。厚生労働省室内濃度指針値レベル(0.08ppm)でホルムアルデヒドを供給し,これをどれだけ低減させることができるのかを測定します。小形チャンバー式試験は,試験条件が実際の室内条件に近いため,光触媒を利用した建材を室内に設置したときどの程度効果があるのか推測できます。



図4 小形チャンバー式試験の概要


 市販製品の評価




図5 市販製品のアセトアルデヒド除去性能

 流通式のJIS試験に基づき,市販されている光触媒材料を評価しました(図5)。光触媒粉末2種類,塗料1種類,壁紙1種類の計4種類を試験体として使用しました。アセトアルデヒドの除去性能を調べた結果,光触媒粉末では,光照射によってアセトアルデヒドの濃度が下がり,除去性能が確認できましたが,塗料や壁紙ではこのような効果をほとんど確認できませんでした。このように,JIS試験に基づいて評価を行うことにより,汚染空気浄化性能の差をはっきりと比較可能であることが分かります。


 道立試験研究機関の取り組み


 光触媒には,セルフクリーニング機能,抗菌機能,水浄化機能,空気浄化機能などがあり,応用製品は多岐にわたります。この多機能な光触媒応用製品の性能評価,開発支援を目的として,道立の試験研究機関による北海道光触媒技術支援ネットワークが設立されました(図6)。これにより,今後は効率良く製品開発の支援などが行えるようになります。



図6 北海道光触媒技術支援ネットワーク

 このネットワークを活用して生まれた応用製品開発例として,光触媒を表面に固定化した珪藻頁岩(けいそうけつがん)タイル(工業試験場が特許出願)が挙げられます(図7)。この光触媒機能を持つタイルは調湿性も高いため,室内環境の改善に寄与する可能性があります。今後は製品化に向けてデータを積み重ねていく予定です。

図7 光触媒応用製品開発の一例

図7 光触媒応用製品開発の一例


(この記事は,1月17日に札幌市で開催された光触媒報告会で発表した内容をまとめたものです。)



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