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「NHKおはようもぎたてラジオ便-北海道森物語-」林産試版

企画指導部 普及課



 林産試験場の職員がNHKのラジオ番組に出演し,提供した最新の研究情報について,番組でのやり取りを再現してお伝えしています。

(扱い:企画指導部普及課)



北海道のサンルーム「ウィンターガーデンてな~に?」

出演:性能部性能開発科長 平間 昭光
放送日:平成20年2月27日




 林産試験場で研究,積雪寒冷地に適したサンルーム


NHK 今日は,「サンルーム」というものについて,研究者の視点からお話をしてもらいます。サンルームというとガラスで囲まれた温室のようなイメージを持ちますが,様々な使い方があるのでしょうね?

平間 植物を育てるだけでなく,家族の団らんの場であったり,洗濯物やふとんを干したり,といった様々な用途に使用できると思います。

NHK サンルームと林産試験場の取り合わせ,一見かかわりが無いようにも感じられますが,平間さんがサンルームの研究に携わっているのはどういう理由からでしょうか?

平間 林産試験場では,木製サッシをはじめとする数多くのエクステリア製品の研究開発を行ってきています。私たちが研究対象としている木材は,加工性,施工性,意匠性などに優れているだけではなく,サンルームに求められている断熱性能や結露を防ぐ性能に優れた材料であるため,積雪寒冷地のサンルームには最も適した材料であると考えています。また,戸建て住宅で最も割合の大きい木造住宅の構造とサンルームの構造とを同一にすることで,設計,施工が一体的に行えることが,低価格化や性能向上を目指す上で非常に重要であると認識しているからです。


 北海道にこそ欲しい内と外をつなぐ空間,サンルーム


NHK なるほど,そうしたメリットにもつなげられるのですね。そのようなサンルームが,北海道で求められる理由はどういうことでしょうか?

平間 北海道の住宅建築は,周りの環境が厳しいことから,それに耐える快適な室内環境を作り出す必要があります。住宅全体を断熱材で覆って窓などの熱の逃げやすい開口部を可能な限り小さくし,室内と屋外を遮断する考え方によって発展してきました。そうしなければ,過ごせないというのが実情かと思います。そうなると,外気や太陽光など清浄な外部環境に触れる機会が少なくなりがちです。人間本来の持つ生理的・心理的欲求を満足させるために,どうしても太陽光がさんさんと降りそそぐサンルームのような空間が求められることになります。

NHK 住宅の中に新たな用途の部屋をつくる,ということなのですね?

平間 サンルームという言葉だけ聞くと,日本の文化と無縁に感じられます。しかし,元来日本の住宅には「縁側」と呼ばれる空間が存在していました。縁側は夏には突き出たひさしが強い日差しを遮り,冬には心地よい日だまりとして機能します。こうした空間が住宅には古くから求められていました。このような内と外のつながりを持たせた空間は,私たちが研究しているサンルームのイメージと何ら変わらないものと言えます。

NHK なるほど,北海道では,冬はもちろん,秋や春でも気温が低い状態が続きます。ガラスで覆うことでそうした寒い時期にも使えるようになるわけですね。

平間 そのとおりです。特に最近は,高断熱の複層ガラスなどが普及していることもあり,北海道のような積雪寒冷地でもサンルームのような空間が注目されてきています。


 これまでのサンルーム,有効に使われないケースも


NHK 自然エネルギーの太陽光をうまく自分の生活の中に取り入れ,活用するということですね。サンルームの利用目的について,先ほど,植物を育てたり,ふとんや洗濯物を干したり,というお話がありましたが,ほかにどのようなことがあるのでしょうか?

平間 林産試験場で北海道のサンルームの使用実態調査を行ったことがあります。その調査では,「洗濯物の乾燥」,「日光浴」,「温室」が主たる設置の目的であり,冬期間に阻害される屋外の生活行為の場として計画される傾向にありました。しかし,当初サンルームに期待していた機能が満たされないため,単なる物置として使われるなど,あまり有効に使われていないケースも少なくありませんでした。
NHK 有効に使われないケースはなぜ起こるのでしょうか?機能の不足とはどのようなことでしょうか?

平間 実はサンルームは,外気温度や日射量の変動に作用されやすいため,夏期の高温と冬期の低温が問題となっています。使用頻度の高かった「洗濯物の乾燥」や「日光浴」などは,サンルームの温度や湿度といった環境がそれに適したときにだけ使用すれば何も問題がないのですが,「温室」や「居間」のように24時間使用する場合は,サンルーム内の環境を制御する必要があります。

NHK なるほど農業用ビニールハウスによく暖房機が備わっているように,サンルームも暖房や換気が必要ということですね?

平間 使用目的,使用環境,サンルームの構造などによっては必要となります。

NHK サンルームといえば欧米が先進地かと思います。そちらでも同じような状況でしょうか?

平間 呼び名や使用目的は様々ですが,世界中にこのような空間は多数存在しています。温室の発祥地とされているドイツを例にとると,使用目的ごとに4種類(タイプ)に分類されています。日本の「縁側」のように周囲にしゃへい物を取り付けない構造をしたタイプと「サンルーム」のようにガラスなどの透明な材料で囲ったタイプ。これらは,室内環境を制御する設備は持っていません。そのほかに「居間」として使うタイプや「植物栽培」を目的としたタイプ。これらは,使用環境や使用状況に応じて温熱環境を制御する設備が必要になります。


 使い心地のよいサンルーム,住宅建築の計画段階から検討を


サンルームを設置した住宅

NHK 居間や植物栽培を目的とした場合,どうしても設備投資が必要になってきますし,ランニングコストも気になりますよね?

  平間 そうですね。ただ,24時間使用する必要がある場合,暖房等の設備を持たないと当初の目的が果たせない,有効活用ができない,ということになります。そして,あらためて設備を付け足すとなると,工事費用やランニングコストが割高になりがちです。そうしないためにも,やはり計画段階からこうした設備の導入を考えておく必要があるのだと思います。

NHK お話の途中であったように,単なる物置代わりにしないためにもですよね。これから住宅の建築あるいはリフォームを考えている方に,機能のよいサンルームの設置をぜひとも勧めたい,という平間さんの思いが伝わってきました。しかも木製のサンルームということですよね?

平間 住宅建築を考えている方には,ぜひ寒冷地に適した材料である木材を使ったサンルームの設置を検討してほしいと思います。(以上)



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