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 ●特集『平成20年 研究成果発表会』

電磁波シールド性能を有する合板の開発

技術部合板科 西宮耕栄

 研究の背景・目的

 無線LANや携帯電話の普及により,ネットワークの無線化が急速に進展しているため,混信などによる通信効率の低下や,機密保持の問題が大きくなっています。また,無線による電子機器の動作異常の問題も依然として残っており,特に医療面で療養病床の削減の可能性が高く,今後は,一般家庭のような電磁環境に注意の払われていない環境における早急な電磁環境対策が求められています。
 その対策として,建材に電磁波シールド性能を持たせる方法があります。本研究では,合板製造時の接着剤にシールド性能を有する材料を混入させた合板を開発することを目的としました。


 研究の内容・成果

 黒鉛系や炭素系の材料を混入した接着剤を用いて合板を製造し,それらの合板のシールド性能を測定しました。その結果,黒鉛系の材料を用いた合板のシールド性能(図1)は,比較として用いた鉄板にほぼ匹敵する性能を有していました。


図1 配合とシールド性能の関係

 また,実際に90cm角の箱を作り,その中に市販の無線LANを設置して,その電場の強度からシールド性能を調べました(図2)。その結果,測定箇所によるばらつきは見られましたが,17~30dB程度のシールド性能が得られました(図3)。
 一般的に無線LANの通信品質向上には15dB程度のシールド性能でも十分であり,このような用途では実用に耐えうる性能であることが示唆されました。


図2 実大試験の様子


図3 実大試験の結果


 今後の展開

 今後は,接着剤に混合する物質と,開発した合板のシールド性能との関係を基にして,性能のシミュレーションなどを行っていきたいと考えています。さらに,実大居住空間における性能試験などを行って,技術移転を図りたいと考えています。

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