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Q&A 先月の技術相談から

ナラ材の褐色汚染(変色)について

Q:室内で使用していたナラ突き板合板が褐色に変色してしまいました。原因は?


A:ナラ材の褐色汚染(変色)について
 木材の変色防止は木材を利用する上での大きな課題のひとつです。変色はさまざまな要因で引き起こされます。鉄汚染やアルカリ汚染など化学的要因,光や温度など物理的要因,そして合板や集成材などでは接着剤も変色の原因となることがあります。
 近年,MDFなどの下地材にナラの突き板単板を貼った製品の変色についての相談が増えています。家具やドア,階段等に使われていたナラ突き板仕上げのボードが,半年~1年,長いものでは2~3年後に変色が発生したという事例が報告されています(写真1)

写真1 変色したナラ突き板ボード
写真2 調湿条件による
 変色の有無(使用接着剤APIの例)


 ナラ材は抽出成分にタンニン類を多く含みます。タンニン類は化学反応性に富み,鉄イオンと結合して黒褐色になる鉄汚染,褐色になるアルカリ汚染,赤っぽく変色する酸汚染などを引き起こし,ナラ材は非常に変色しやすい木材と言われています。
 今回は湿気の多い場所で使用され褐色に変色したナラ材突き板の技術相談の事例を参考に,カビ等の微生物の影響について調べてみました。
 湿度をそれぞれ70,80,90%に調整したデシケータ内に試験片を2週間入れると,湿度90%の条件ではホルマリンキャッチャー剤,接着剤の種類に関係なく,単板,合板加工,MDF加工とも大きな変色が見られました(写真2)。また,表面にはカビの胞子,菌糸も観察されました(写真3)
 そこで,湿度を90%に調整した培養瓶を用いて,変色に及ぼすカビの影響を観察しました(写真4)。滅菌をしていない培地と試験片では2週間放置で前回のデシケータ内での試験と同様カビの発生とともに変色が観察されました(左側)。培地および試験片を滅菌(中央:乾熱滅菌,右端:ガス滅菌)すると,同じ湿度90%の条件でもカビは発生せず,試験片の変色も観察されませんでした。
 また滅菌をしていない培地に防カビ処理を施した試験片を入れた条件でも同様にカビの発生,変色は見られませんでした。

写真3 変色した試験片の表面の
 顕微鏡写真
写真4 培養瓶を用いた試験片の
 変色試験


 技術相談により持ち込まれたサンプルは表面に塗装加工が施されており,顕微鏡では菌糸,胞子等は明確に確認できませんでしたが,上記の結果から,ナラ材の褐色汚染に生物的な汚染が関与している可能性もあることが分かりました。今後,カビの種類,変色のメカニズム,そして防止策等について研究を進めていかなければならないと考えています。

(技術部 合板科 平林 靖)

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