●特集『平成20年 研究成果発表会』
道東・オホーツクに位置し農林業を基幹産業とする美幌町は行政面積の62%が森林であり,早くから人工林の造成など林業振興に力を入れてきましたが,安価な外材の普及や生活様式の変化などを背景に林産業の衰退と森林資源保全の危機を迎えたことから,地域の林業関係者や商工業者,自然保護団体などで組織する「未来を拓く森林づくり協議会」を平成16年に設立し,森林を守り,地域資源として積極的に活用し,活性化に繋がるまちづくりを検討してきました。
■森林認証の取得と地材地消
自然と地域,人をつなぐ手段として環境に配慮し適切に管理された持続可能な森林を示すFSC森林認証を平成17年10月に取得し,さらに,町内の工務店4社,製材業者2社,クラフト1社及び町外企業4社が流通・加工過程のCoC認証を取得したことで,地域内で循環する地材地消の仕組みが完成しました。
FSC認証林
町産材住宅
■住宅建築と地域経済の活性化
地球規模でのC02排出量削減が課題となっていますが,地域内循環による輸送コストやウッドマイレージ縮減,住宅に木材を使用することによるCO2の固定化も期待できることから,町産認証材を活用し,CoC認証を取得した町内の工務店が建築をした住宅の建築主に対して助成をする制度を平成19年9月から施行しています。
19年度は3件が助成対象となり,20年度は10戸増を目指しています。この制度を活用して多くの町内企業はもとより,オホーツク地域の木材加工業者が関わることにより地域経済の活性化が図れるものと考えています。
■認証材使用住宅実績(H19)
項目 数量
建築面積 147.70 m3/件
総木材使用量 24.78 m3/件
認証材使用量 17.42 m3/件
認証材使用率 70.30 %
美幌町産の認証材を認知させたい。そのためには,まず町民の支持を得て町内需要を増やしたい。森林認証や認証材を知ることによって,町民が地球環境保護と地域経済を考えるきっかけとしてほしい。森林保護の町として住民が誇りを持てるまちづくりを進めたい。