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 ●特集『平成20年 研究成果発表会』

道産針葉樹に含まれる機能性糖脂質

利用部成分利用科 佐藤真由美

 研究の背景・目的

 植物および藻類の葉緑体脂質であるグリセロ糖脂質は,老化抑制や抗ガン作用などの生理作用を有することが報告されており,機能性食品素材としての活用が期待されています。近年,特にスルフォキノボシルジアシルグリセロール(SQDG)の機能性が注目されていることから,北海道産針葉樹の樹葉に含まれるSQDGの含有量を測定し,機能性食品素材としての可能性を検討しました。
 なお,この研究は,日油株式会社,帯広畜産大学との共同研究として行いました。


 研究の内容・成果

 樹葉からクロロホルム-メタノール2:1(v/v)を用いて抽出した脂質(全脂質)をイオン交換カラムに供した後,SQDG(図1)を液体クロマトグラフィーにより定量しました(図2) 。


図1 スルフォキノボシルジアシルグリセロール(SQDG)の構造


図2 トドマツ全脂質 (左)とトドマツ精油採取残さ全脂質(右)由来酸性脂質画分の液体クロマトグラム
PA, ホスファチド酸; PG, ホスファチジルグリセロール; PI, ホスファチジルイノシトール>

 SQDGはアカエゾマツに最も多く含まれていました(樹葉100 gあたり36.4 mg)(表1)。トドマツ精油採取残さには脂質の分解物であるホスファチド酸(PA)が認められず,残さ100 gあたり24.7 mgのSQDGが含まれていました。
 機能性食品及び香粧品素材の製造では,多くの場合,抽出溶媒としてエタノールが使用されるため,エタノール抽出物中のSQDGの定量を行ったところ,全脂質と同程度の収率が得られました。

表 針葉樹葉のSQDG含有量


 今後の展開

 本研究では,北海道産針葉樹の樹葉中のSQDG含有量を明らかにしました。樹葉を機能性食品及び香粧品素材として利用していくには,糖脂質だけではなく,精油や他の成分も利用していくことが必要であると考えられます。今後,これらの樹葉に含まれる機能性成分について研究を行っていく予定です。

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