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●特集『2008 木製サッシフォーラム』

意見交換会(抜粋)

パネラー:平井,植松,野田(講演者,敬称略)  司会:性能部 前田典昭


前田: 本日は木造住宅に限りませんが,構造的評価や研究開発に携わっていらっしゃる講師の方々3名にご講演いただきました。これから皆様のご参加をいただき,意見交換を進めて参りたいと思います。
 構造と開口部という対立する軸にあるような二つの接点とは何かと考えておりましたが,平井先生の最後のお話でその道筋が示されたのではと感じています。
 住宅設計の段階で,ユーザーの開口部に対する要望と必要な耐力壁配置の折り合いをどうつけるかといった現場の体験に基づくような話でもいただけたらいいのかなと思います。


■窓と建物の変形の関わり

会場: 現在ですと,窓屋さんが窓を建物の変形にほとんど関係なく単体で作ります。先程のお話では,はじめから壁の変形に対して,窓枠・外枠も含めて完全に切り離して設置できれば一番いいわけです。そうして断熱だとか,気密だとかいろいろな問題が出てくるわけです。
 壁の変形との相関性を考えずにしっかりしたものを作るんですけど本当はそれではいけなくなってきているんじゃないかと,ガラスのことなど考えますと。
 構造によって出てくる変形に応じてクリアランスというか,あるいはあまり剛性の高いものでなくても,追随してくれた方がいいのではないかというところもあるものですから。その辺はどのように考えたらよいのでしょうか。

植松: 設計の考え方さえしっかりしていればどちらでもいいと思います。固めるのであれば本当に固める。要するにガラスが飛び散らないように枠で固めるというのが一つの方法です。
 あとは,非構造部材と見なして,高層建物にはカーテンウォールみたいなものがありますが,それと同じように構造で必ず変形を逃がしてしまうという方法です。
 断熱や気密が少し問題になるのではないかと思いますけど,断熱材にも気密材にも剛性はありません。
 むしろ隙間を埋めるということでは十分まかなえるだけのツールと技術はあると,あとは考え方です。その考え方をちゃんとユーザーに説明できるかということが大事なんじゃないかなと思います。

前田: ずいぶん前になりますけど,ログハウスの施工風景を見ていて,ログの場合はせん断変形ということではなくて,丸太が乾燥していく過程で開口部の面積が変わっていく,それに対応するようにサッシが建物とは完全に独立して付いていくのを見て,それと類似したようなことなのかなと感じました。


■ラーメンと壁を併用した建物の考え方

会場: 開口部を作るうえでは,ラーメン構造は非常にメリットが多いという気がします。
 構造計算では,ラーメンは許容応力度計算でやる,一方,面材を使った壁は壁倍率の計算ということで,その辺が簡単に計算上うまくできるような評価手法が今後開発されていくのかどうかというところが,開口部周りにラーメンを今後使っていきたいという人が増えるかどうかのかなり重要なポイントになってくると思うんですけど,その辺が今後どうなっていくかというお話を伺えたらと思います。

平井: 現在の一般住宅レベルの壁量計算をベースにした設計,一応形式上,許容応力度設計であっても,実際にはほとんど壁量に置き換えてやります。この方式でやっていただくには結構難しいですね。
 ただ,これからだんだん変わっていくと思います。大手の住宅メーカーなんかの設計では,実験データの力と変形の関係の曲線を持ってきて,それを足し合わせるということを既にやり出しています。
 問題はラーメン型の構造で,その強度特性は壁とは全然違います。本当に倒壊防止を考えたときにラーメンは結構強いんですね。
 ただ,最初は剛性が違うので全部壁に来ます。ほぼ,90何%壁に行ってラーメンは効かないと思った方がいい。だけど,いざ壊れる段になったらラーメンは相当頑張ってくれます。
 そこを,さっき言った一次設計と二次設計のレベルで,本当に壊れるところまでを一つの土俵の上でやって,きちっとした実験データなり理論計算をした荷重と変形の関係の曲線なりというものを押さえて,それを足し合わせる。
 基本に戻ってちゃんとした荷重と変形の関係の曲線をベースにしたやり方をこれから考えていかない限り難しいと思います。でも,今すでにそうなりつつありますので,ニーズがあり,真面目に実験をやったり計算をしたりすれば可能だと思います。

野田:  そうですね,やっぱりラーメンとなりますと,強さだけじゃなく回転剛性のほうが重要になります。ラーメンは基本は剛接合であるといいながら,いろいろ調べていくと,やっぱり壁よりは弱いものの方が多いんですよね。
 ですから,やっぱり柔らかいという認識で皆さんはやった方がいいのかなと思います。ただ,接着接合とかもいろいろ試されているので,剛性のコントロールができるラーメン構法というものも開発できるのかなと考えています。


■開口部を耐力要素にすることは可能か

会場: 開口部を設けた耐力壁の強度については,その上下の要素,例えば垂れ壁などが耐力に寄与するという計算になるのですが,開口部の中にあるガラスが非常に強いと,それも力を負担することができますよというようなものが開発された場合,それを組み込んだ評価というのはできるものでしょうか。

平井: できると思います。実はそういう考え方もあります。ただガラスは非常に面内剛性が高いので,固めると相当な力が掛かります。
 で,はじけ飛ぶのが怖いので,その時にはネットを入れたりします。仮に耐力が保たなくなっても,ガラスがばらばらに飛散することがない,そういう方式のものをやっておけば,ガラスを組み込んだ開口部を耐力要素として見ることは十分あり得ると思うんです。
 そこで,さっきの変形特性をちゃんと考えた計算をやったら,十分あり得ると私は個人的には思っています。

植松: できます。さっきの許容応力度設計自身がいいか悪いかはさておき,そうなってくると今度は柱の変形が無視できなくなってくる。
 柱の変形を考えた時の設計の仕方・考え方も今の設計体系中で一応記されていますので,その辺を道標にして設計していくことになります。

野田: 実際にそういったものも開発されていて,最近の事例で光を通す壁をという形で,ガラスではないですけど,透明なFPRのようなものを耐力壁に使っている事例が,雑誌等で紹介されています。そういったものが,今後出回るのかなと思います。


■木製サッシの今後の動向

会場: 今の木製サッシの市場ですね,話に聞きますと,輸入サッシというのはすごく増えているようなんですけど,国産メーカーさんのほうはこれからどういうふうに推移して行くのかについて,何か情報があれば教えていただきたいと思うのですが。

会場: 北海道木製窓協会の久保でございます。
 木製サッシって基本的に受注生産という形で,はっきり言って市場は非常に暗いというのが現実なんです。なぜかというと,ここ4,5年の間に急速に世界的に木材が無くなってきているという,いろんな木材事情もありまして,木製サッシもコストを下げれば売れるぞと言われながら,なかなかそこに達しないという現状であります。
 おそらく,10年くらい前に一時的なブームがあり,そして今ちょうど山を下りているという状態で,これからどう浮上するかが大きなテーマだと思います。

会場: 林産試験場の石井でございます。
 木製窓はここ2,3年横ばい状態です。全国の木製サッシ販売数は24万窓くらいですが,その中で,国産サッシは少しずつ下がりつつあります。
 やっぱり輸入サッシが増えているという状況です。
 ただこれから先の話になりますと,例えば今年北海道で環境サッミトがあって環境問題が認識されるようになると,樹脂サッシやアルミサッシのようにエネルギーを山のように使って作るようなものというのはどうかなと考える人が増えてくることに木製サッシサイドとしては期待をしているところだと思います。
 それともう一つ,断熱や結露など住環境問題を見ていきますと,木製サッシというのはいいものになりますので,そういうところからも増えていく要素が出てくるという気はしています。

前田: 会場からもたくさんのお話をいただき,ありがとうございました。最後に木製窓協会の久保会長から一言ごあいさつをお願いいたします。

久保会長: 本日は大変お忙しい中,このようにたくさんご参加いただきまして誠にありがとうございました。講師の先生方にはとても分かりやすい解説をいただき大変ありがとうございました。
 窓業界は結構厳しい状況になっているんですけど,ここで何かをしなければならないということで,熱貫流率が1W/m2Kを切る高性能の木製サッシですから中身で勝負していこうという意気込みで,今後取り組んでいきたいと思いますので,ぜひご協力のほどをお願いいたします。本日はありがとうございました。


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