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第16回北海道こども木工作品コンクールを終えて

企画指導部 普及課 高山光子




 林産試験場が(社)北海道林産技術普及協会,北海道木材青壮年団体連合会との共催で毎年開催している「北海道こども木工作品コンクール」は,今年で16回目となります。このコンクールは,日常あまり手にすることの無い木工道具を使用し,想像力を生かしてひとつの作品に仕上げるという体験を通して,未来の北海道を担っていく子供たちの木材や樹木への興味を育むとともに,木工技術の向上を図ることを目的としています。北海道内全ての小中学校に応募を呼びかけ,木工工作個人の部,同団体の部,レリーフ作品の部の3部門で作品を募集しました。

 今年のコンクールは,夏休みを製作期間とすることでより多くの児童・生徒に参加してもらえるよう,作品の応募期間を例年の夏休み前から夏休み後に変更しました。この結果,全道各地の小中学校24校から371点と多くの作品がよせられました(昨年19校174点)。

 さる9月9日に旭川市内の美術館職員や大学教員などによる審査委員会を開き,部門ごとに最優秀賞1点,優秀賞2点,特別賞数点を選出しました。

 また,9月13日~10月3日までの期間,当場敷地内「木と暮らしの情報館」において「第16回北海道こども木工作品コンクール展」を開催し,受賞作品を含め応募された全作品を展示しました。  以下,部門ごとにご紹介します。


 木工工作個人の部


 木工作品個人の部には計102点と昨年の数倍の作品が寄せられました。それにともない作品の内容も豊富になり,素材の持ち味を生かした芸術的な作品から実用的な木工作品までバラエティに富んだものとなりました。

 最優秀賞には,松かさや落ち葉など様々な材料を巧みに使って表現した「ふくろうの親子」(蘭越町立三和小学校5年 池田岳人さん)が選ばれました。審査員からは「大変細やかな作品」「同じような作品の中でも表現において優れている」などの講評がありました。

ふくろうの親子

 優秀賞には,流木の素材としての持ち味を生かした「遠くをみつめる鹿」(別海町立上春別中学校2年 住友夢華さん)と数種類の太さの木の枝を丁寧に組んで作り上げた「ログハウス」(別海町立別海中央小学校5年 小林紗歩さん)が選ばれました。審査委員からは,それぞれ「素材に向き合う中から出てきた中学生の発想がすばらしい」「ログハウスをよく観察して全体を丹念に作ってある」などの講評がありました。

 遠くをみつめる鹿,ログハウス   

 特別賞には,枝の曲がりを生かした「ふくろう」(旭川市立愛宕東小学校2年 波多江航基さん),小物の精巧な作りが評価された「木のケーキ屋さん」(同校4年 松倉沙奈さん),実用的な作品が少ない中で実用性とそのまま使える完成度の高さが評価された「モジモジモグラスリッパラック」(別海町立別海中央小学校4年 小野隼輝さん),流木の形を生かしてさや(さや輝)と太刀をしっかり作りこんでいるとの評価のあった「太刀」(別海町立上西春別中学校2年 小野裕太さん),身の回りの材料をよく観察しそれらを巧みに使った「カブトムシとクワガタムシ」(根室町立花咲小学校4年 中村瑠希さん),枝の使い方など素材を生かした表現が評価された「木に止まっているふくろう」(旭川市立永山西小学校3年伊藤世那さん)の6点が選出されました。

特別賞6点


 木工工作団体の部


 木工工作団体の部では,どの作品もこの部門の魅力であるダイナミックさにあふれ,子供たちのチームワークや楽しさの伝わるものばかりでした。このうち,置戸町立勝山小学校4,5,6年生による「かつやまどうぶつえん」は「非常にダイナミック」「力強い」「工作技術が優秀」「すばらしい完成度」など高い評価を得て最優秀賞に選ばれました。

かつやまどうぶつえん

 優秀賞には動きのある作品で子供らしさが出ている点などが評価され,滝上町立濁川小学校5,6年の「みんなの森」が選ばれました。また,特別賞には木の枝などを使って船を作り上げた留萌市立港南中学校1,2年生の「Wood Ship」が選ばれました。

みんなの森・woodship


 レリーフ作品の部


 レリーフ作品は林産試験場で開発した「アート彫刻板」を使用します。「アート彫刻板」は赤く着色した接着剤で何枚もの単板をはり合わせた合板です。彫り方によって赤色の接着層が様々な表情で現れるため,効果的な見せ方で作品の可能性が広がります。

 この部門には266点の作品が寄せられました。昨年の146点から大幅に増え,参加学校数も8校から13校に増えています。それに伴い作品のテーマや表現力もバラエティに富む内容となりました。

 最優秀賞には,彫刻板の特長を生かして紅葉を見事に表現した「カエデ」(室蘭市立陣屋小学校6年 佐々木美帆さん)が選ばれました。審査委員からは「紅葉を赤色と白色で巧みに表現している」「背景を赤と白のグラデーションで仕上げデザイン性や絵画性に優れた作品」など高い評価を受けました。

カエデ

 優秀賞には,トランペットの形状を丹念に彫り込み赤と白の層の美しさでトランペットを浮き立たせた「Trumpet」(登別市立幌別中学校1年 深澤真奈さん)と,接着層の赤色を使って砂漠の夜空を表現し,石を一つ一つ丁寧に彫った「ピラミッド」(岩見沢市立第二小学校6年 島田聖史さん)が選ばれました。ともに彫刻板の素材の特長をうまく生かした表現力が評価されました。

トランペット・ピラミッド

 特別賞には「リス」(美瑛町立明徳中学校3年 阪上夏穂さん),「たこつぼからでてるたこ」(登別市立幌別中学校3年 千葉詩織さん),「大空」(松前町立大島中学校3年 斉藤はつめさん),「かよのMy Room」(小樽市立若竹小学校6年 野村果代さん),「とうもろこし」(室蘭市立陣屋小学校5年 由利拓海さん),「レリーフ」(釧路市立阿寒湖小学校6年 中川駿之介さん)の6点が選ばれました。これらの作品は接着層の赤色を効果的に使った表現や彫刻版の画面いっぱいを使った構図に優れ,審査委員からは「動きが表現できている」「大変力強くダイナミック」などの評価を受けました。

特別賞6点


 コンクールを終えて


 審査委員の方々から「作品数が増えたことで内容も豊富になった」「木の素材感を生かした造形的な作品だけでなく実用的な木工作品も増えた」「こどもの発想がよく生かされていた」「木の特長を活かしたアイデアがすばらしい」などの講評があったように,今年のコンクールは参加作品数の増加だけでなく,作品内容もバラエティに富む優れた作品が多く寄せられました。今後はさらに多くの学校に参加してもらうことで,より内容の豊かなコンクールとなるよう,開催時期や開催案内の方法などさらに検討を重ねていきたいと考えています。

 また,ある審査委員からは「木の素材のおもしろさや自然のすばらしさを味わってくれていたらうれしい」との感想が聞かれました。普段の生活で木材や木製品に触れる機会が少ない中で,このコンクールが木材に触れ,木や自然とのつながりを感じることができる機会となるよう取り組みを続けていきたいと考えています。さらに,キット製品による工作では味わえない,一人ひとりの発想を作品として表現していく経験を通して,発想力や創造性が磨かれる機会となり,これらのことが「木育」が目指す自然と人間とのかかわりを感じる豊かな心をはぐくむことにつながっていくことを願っています。

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