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Q&A 先月の技術相談から

日本産と中国産のシナノキの接着・塗装性能

Q:日本産と中国産のシナノキの接着・塗装性能について教えてください


A:水性高分子-イソシアネート接着剤(API)を用いて中国産シナノキ材(以下中国産材)同士または日本産シナノキ材(以下日本産材)同士を接着した場合,常態接着力試験において中国産材の木部破断率は日本産材のそれの30%以下と著しく低く,接着層が破壊しやすいことを示しています。さらに,浸せきおよび煮沸はく離試験においても,中国産材は日本産材よりもはく離しやすい傾向が認められています。一方,合板の製造によく用いられる尿素-ホルムアルデヒド樹脂接着剤(UF)や, レゾルシノール-ホルムアルデヒド樹脂接着剤(RF)を用いて接着された中国産材と日本産材の間には,このような違いは認められていません。

 また,ポリウレタン樹脂(PU)を用いて中国産材を塗装した場合,その引っ張り強度は日本産材のそれよりも低く,さらに日本産材と比較して著しく低い木部破断率を示し,木部と塗膜との間で破断します。また,不飽和ポリエステル樹脂(UPE)を用いて中国産材を塗装した場合,引っ張り強度は日本産材のそれと同等ですが,木部破断率や破壊形態はポリウレタン塗装の場合と同じです。一方,アミノアルキド樹脂を用いて塗装した場合には,中国産材と日本産材の間に上記のような相違は認められません。

 すなわち,水性高分子-イソシアネート接着剤を用いた接着や,ポリウレタン樹脂,不飽和ポリエステル樹脂を用いた塗装の場合,中国産材の接着・塗装性能は,日本産材のそれと比べて悪いといえます。

 なお,このような中国産材と日本産材間の接着・塗装性能の相違が生じる理由として,湿潤性や樹脂の硬化に影響を与えるような疎水性抽出物が,日本産材よりも中国産材に多く含まれていることがあげられます。なお,詳しくは林産試だより2003年1月号や木材学会誌48(5): 371-379(2002)をご覧ください。

シナノキの樹形 シナノキの葉
シナノキの樹皮

(利用部 成分利用科 岸野正典)

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