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「NHKおはようもぎたてラジオ便-北海道森物語-」林産試版



 林産試験場の職員がNHKのラジオ番組に出演し,提供した最新の研究情報について,番組でのやり取りを再現してお伝えしています。

(担当:企画指導部普及課)



太陽熱を利用した木材乾燥装置について

出演:技術部 製材乾燥科 土橋英亮
放送日:平成20年9月24日(水)



木材は乾燥することで強度や寸法安定性などが向上


NHK  今朝は,林産試験場の土橋さんに,太陽熱を利用して木材を乾燥する装置についてお話をうかがいます。まず,木材を乾燥するということは,そもそもどういうねらいがあるのか教えてください。
土橋  木材には,乾燥することにより,強度が増すなど,様々な性能が向上するという性質があります。また,木材を乾燥せずに使用すると,時間がたつにつれて自然乾燥して縮み,寸法が大きく変わるだけではなく,ねじれや曲がり,割れなどが発生する可能性が高くなります。このようなことから,木材は使用する環境に応じて適度に乾燥してから使う必要があるのです。


ねじれ,心割れ,ヤニ


一般的な木材乾燥装置は重油・灯油を使う蒸気式


NHK  なるほど。寸法が違ってしまったら建物がゆがんでしまいますからね。ところで,木材を乾燥するためには,現在,一般的にどのような装置が使われるものなのでしょうか?
土橋  現在最も普及しているのは蒸気式乾燥装置と呼ばれるもので,主に重油や灯油を燃料にしてボイラーで蒸気を発生させ,それにより,乾燥室内の温度と湿度を調節しながら,木材を乾燥する装置です。このタイプの乾燥装置は,短期間で乾燥できる,割れなどの損傷を抑えられる,などの利点があります。

化石燃料消費を抑制する取り組み,装置は太陽熱を効率よく利用


NHK  その蒸気式の装置では重油などの燃料が必要だということですね。それでは,今回テーマの太陽熱を利用した木材乾燥装置とはどのようなものですか?
土橋  原油価格の高騰や地球温暖化防止の観点から,様々な分野で化石燃料消費量を抑制する取り組みが行われています。この動きは,木材を乾燥する場合も例外ではありません。
 このような背景の中,足寄町にある民間企業が,独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構の研究資金により,木材の乾燥に太陽熱を利用する装置を開発したものです。これはコンクリートの床に鋼材で骨組みを造り,その骨組みを挟むように三重構造のビニールフィルムを張っています。また,乾燥室の内側には炭素繊維のシートを全面に張り,太陽熱を集める効率を高めています。大きさは間口4.5m,奥行き5m,高さ3.8mで,室内空気を循環させるためのファンを備えています。室内空気を排気するための円筒は断熱構造になっていて,これにより電動ファンを使うことなく乾燥室内の空気を排出することができます。

板類の乾燥に適した太陽熱利用の乾燥装置


NHK  言ってみれば特殊な装置がついたビニールハウスのなかで乾燥するようなものですね?どうでしょう,一般的な重油などを使う木材乾燥装置と比べた場合,この太陽熱を利用した乾燥装置にはどのような違いがありますか?
土橋 蒸気式乾燥装置は,乾燥室の温湿度を調節することで様々な木材の乾燥をすることができます。一方,この装置は乾燥室内の湿度を上げる機能がありませんから,柱に使うような大きなものではなくて,板類など比較的薄い木材の乾燥に向いています。


カラマツの板を太陽熱乾燥装置へ


3割の燃料費を節減(実験例)


NHK  燃料費を抑制して乾燥することができるわけですね。どれくらい節約できるのですか?
土橋  季節,天候,乾燥にどれくらいの期間をかけるか,また,これらの状況に応じて補助用に備えている熱源をどれくらい使うかによっても違ってきます。林産試験場が平成19年の9月下旬から10月上旬に実施した試験の例では,蒸気式乾燥装置と比べて約3割燃料費を抑制できるという試算結果が出ています。
NHK  その分二酸化炭素の排出が抑制されるわけですね。ぜひこの乾燥装置が普及するといいと思います。(以上)


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