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Q&A 先月の技術相談から

きのこ産業への新規参入について


Q: (他の業種・業界から)きのこ産業に新規参入したいと考えています。その際の注意点などを教えて下さい。


A:きのこ栽培についてほとんど知識が無く,初めてやってみようという場合には,「菌床シイタケ」をお勧めします。

 理由のひとつとしては,栽培されているきのこの中でシイタケは価格が比較的高値で安定しているからです。以前,安価な外国産シイタケの輸入量が増え,急激な価格低迷に対してセーフガードが暫定発令されました(平成13年)が,その後,外国産野菜の残留農薬問題などで国産のシイタケが見直されています。例えば札幌市場ではこの5年間(14~19年)でシイタケの単価(平均)はkgあたり800円前後で,他のきのこに比べて高値かつ安定して推移しています1)

 もうひとつの理由としては,シイタケは「培養済みの菌床」を購入できるということがあります。一般的に菌床きのこの栽培方法は,培地材料の確保から,培地調製,培地の殺菌,種菌の接種(植菌),培養管理,発生管理,子実体(きのこ)の収穫,出荷(選別や包装)といった流れになります(図1)。

図1 菌床栽培の工程

 現在,菌床シイタケは,複数の種菌メーカー指定の会社などから,培養済みの菌床を購入することができます。培地の調製から接種作業までの工程では,専用の施設・設備を導入する必要がありますが,培養済みの菌床を購入する場合はその初期投資が低く抑えられます。
 まずは複数の種菌メーカーなどに適切な経営プランを提案してもらい,比較・検討する方が良いでしょう。その際,既存の簡易ハウスや空調施設などを活用する場合は,その施設に合った種菌,栽培方法を検討して下さい。また,施設を新築する場合は,最初はできるだけ小規模で,試験栽培することをお勧めします。シイタケ栽培に適した環境条件(温度,湿度,換気による風の流れや強さなど)をコントロールするには,少なからず外気の影響を受けるため,その施設の特性とシイタケの栽培特性の両方を把握しなければなりません。それにはどうしても時間がかかります。このほか各種菌メーカーで栽培技術等の講習会を行っており,最新技術や関連情報が収集できます。

 また,最初から検討してほしいのは「販路の確保」です。シイタケが高値で安定しているとはいえ,作れば必ずいつでも売れるわけではありません。販売戦略は重要です。全面的に依存するのは良くないですが,種菌メーカーなどにも販売方法を提案してもらうのも一つの手だと思います。

 将来的には,規模拡大や,培地調製から行う「一貫生産」への展開もあります。一貫生産を行う場合は,培地原材料(おが粉など)の確保や培地調製から接種工程における技術的問題も検討・克服しなければなりません。

参考資料

1) 平成19年北海道特用林産統計

 

(きのこ部 品種開発科 宜寿次盛生)

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