●特集『平成21年 研究成果発表会』
糖脂質の一種であるグルコシルセラミド(以下セラミドとする)は皮膚の保湿作用・抗アトピー効果等が報告されている機能性成分として注目されており,最近,きのこにも比較的多く含まれていることが明らかにされました。そこで北海道内で生産されるきのこのうちセラミド含有量が高い菌種・菌株を選抜し,子実体のセラミド生産効率を評価しました。
なお,本発表内容は道立食品加工研究センター,北海道大学(先端生命研,農学研究院),株式会社スリービーと共同で行った重点領域特別研究の一部です。
1 各種道産きのこのセラミド含有量を評価した結果,栽培期間が短いタモギタケを栽培するとセラミドの生産効率が他のきのこに比べ,優位であることがわかりました。
2 多数のタモギタケ菌株のセラミドの生産効率を評価した結果,従来の菌株(Pc291)より1.3~1.5倍高い菌株(Pc117,Pc254)を選抜しました(写真1,図1)。
3 タモギタケの実生産に使用されている培地を用い,選抜菌株(Pc117,Pc254)の栽培試験を行った結果,標準株(Pc291)と比べ,収量や栽培期間が同レベルで実用生産が十分に可能であることが明らかとなりました(表1)。
タモギタケのセラミド高含有菌株の選抜により,セラミド生産効率向上の指針を示すことができました。
これらの菌株や栽培技術を生産現場にフィードバックし実用化をすすめていきます。また,本研究では,他の道産きのこやその機能性の評価と検証を行っており,これらについても新たな加工食品品や健康食品等への展開を図っていきます。