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「NHKおはようもぎたてラジオ便−北海道森物語−」林産試版



 林産試験場の職員がNHKのラジオ番組に出演し,提供した最新の研究情報について,番組でのやり取りを再現してお伝えしています。

(担当:企画指導部普及課)



きのこを原料とした健康機能成分GABA(ギャバ)の生産

出演:きのこ部 品種開発科 原田 陽
放送日:平成21年3月25日(水)



GABA(ギャバ)は健康増進作用のあるアミノ酸

NHK  今朝のテーマは,きのこを原料とした健康機能成分GABA(ギャバ)の生産についてです。早速ですが,ギャバとは一体どんなものでしょう?
原田  アルファベットでGABAと大きく書かれたチョコレートを何年か前に見かけたという方も多いと思います。ギャバというのは,アミノ酸の一種です。良く知られているアミノ酸として,昆布に多く含まれるうま味成分のグルタミン酸があります。一方,ギャバの成分には,血圧を抑えたり,気持ちをリラックスさせたり,というように健康を保つ働きがあります。

きのこにはギャバを作る能力が

NHK  ところで,ギャバはきのことどういった関係があるのでしょうか?
原田  きのこの中にはうまみ成分であるアミノ酸がたくさん含まれています。その多くはグルタミン酸なのですが,ギャバも少なからず含まれることが分かってきています。

NHK  それで,きのこを使ってギャバを作ろうと考えたのですね。
原田  ギャバは元々発芽玄米に含まれるものとしてよく知られるようになった成分です。最近の健康志向の高まりから健康機能成分としてのギャバの需要が高まってきました。一方,今お話ししたように,きのこには多くのアミノ酸が含まれ,その中にはきのこの種類によって量に差こそあれギャバも含まれています。そこで,きのこ自身にギャバを作る能力があるかもしれないと考えたわけです。
 また,北海道では10種類弱のきのこが実際に生産されており,シイタケやエノキタケ(参照)は生産量全国4番目と上位にランクされています。それで,今までと違った視点からきのこの消費拡大につながる技術開発ができればと考えました。

酵素を働かせてギャバを増産,エノキタケ・シイタケが有望

NHK  きのこは単に食べられるというだけではなく健康成分が多く含まれているのだということですね。どのようにきのこからギャバを作るのですか?
原田  きのこに元々含まれている酵素をうまく働かせることにより,うま味成分のグルタミン酸を健康機能成分のギャバに変えるという技術です。実際研究を進めてみると,きのこの種類によりギャバを作る能力に違いがありました。特に,生産量の多いエノキタケやシイタケが有望な材料であることが分かりました。きのこを使って,元々含まれていたギャバの量を60〜70倍まで一気に高めることが可能になりました(図参照)。

きのこのギャバを使っての食品開発が進行中

NHK  エノキタケやシイタケはギャバの生産能力が高いということですね。作り出したギャバはどのように活用されるのですか?
原田  ギャバを増やした素材というのは,ペーストだったり,エキスだったりするわけですが,きのこから作ったギャバには他のアミノ酸が豊富に含まれているのでうま味があり,いろいろな食品への添加が可能です。こうしたことが健康志向の食品開発につながればと考えています。

NHK  健康に良いとされるギャバが食品に加わることでそのものの価値が高まるということですね。最後に,この技術の実用化に向けた動きを教えてください。
原田  現在,きのこでギャバを作る技術をもとに企業と共同で製品開発を進めています。この取り組みでは,きのこ産地との連携が大事だと考えています。この製品開発の取り組みは,「北海道産エノキタケを活用しギャバを富化させた機能性和惣菜の開発」ということで,経済産業省と農林水産省が進めている農商工連携事業にも採用されています。そして,きのこ産地,食品加工企業を中心に関係機関が連携しながら,実用化を積極的に進めているところです。

NHK  きのこから健康成分ギャバを大量に取り出すことができるようになり,このあと具体的にどういう商品にしていこうか,という段階ですね。こうした取り組みがきのこ産業の活性化につながるのですね。


図解 GABA富化技術の研究と,作出した機能性食品素材の活用

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