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Q&A 先月の技術相談から

「木質ペレット品質規格原案」について


Q: 「木質ペレット品質規格原案」では,木質ペレット中の硫黄分などを測定することになっていますが基準値が明示されていません。目安となる基準値などについて教えてください。


A: 林野庁補助事業「木質ペレット利用推進対策事業」の一環として,平成19年9月21日に(財)日本住宅・木材技術センターから「木質ペレット品質規格原案」が提示されました。
 この規格原案は「有害物質に汚染されていない木材を原料」としたペレットを対象としているため,病害虫防除用に使用される薬剤や木材保存薬剤由来の含有成分(硫黄分・窒素分・全塩素分・ヒ素・全クロム・銅)を測定することとなっています。
 硫黄,窒素,塩素は,それぞれ硫黄酸化物(SOX),窒素酸化物(NOX),ダイオキシンの原因物質です。ヒ素,クロム,銅は,燃焼灰中等に濃縮残留し,環境に悪影響を与える可能性があります。
 測定方法はJIS Z 7302-1「廃棄物固形化燃料―第1部:試験方法通則」等に従い行うこととなります。専門的な技術や測定機器を必要とするため,専門の分析機関に依頼することが適切であると考えます。測定頻度については「仕入原材料の構成に大きな変化が生じた場合に測定すればよい」とされています。含有量の基準値については「今後,必要に応じて基準値の設定を検討する」こととされ,まだ明示されていません。
 ドイツでは木質ペレット中の有害物質に詳細な基準値(DIN 51731)を定めています()。

表 ドイツの木質ペレット中の有害物質の基準値

 SOXやNOX等の発生は排ガス処理等により低く抑えることは可能です。燃焼灰についても,法規に従い適正な処分を行えば問題はありません。しかし,排ガスや燃焼灰に特段の規制がない小型の家庭用暖房機の燃料に供する場合は,ドイツの基準値を目安とするのが望ましいと考えます。
 日本住宅・木材技術センターは品質規格作成に先立ち,市販木質ペレット(11種)に含まれる全硫黄,窒素,塩素,ヒ素を測定しています。その結果ではホワイトペレットおよび全木ペレットは,ドイツの基準値をほぼクリアしています。  クロム,銅については検討されていませんが,林産試験場が工業試験場と共同で行った調査1)によれば,おが粉およびペレット中のクロム含有量は0.10 ~ 0.26mg/kg であり,銅についてもドイツの基準値内に収まると予想されます。
 林産試験場ではバイオマス燃焼灰の有効利用として,カラマツ苗畑の肥料としての活用を検討しています(写真)。このような有効利用を推進するためにも,燃焼灰のもととなる木質ペレットなどに含まれる有害物質を測定する必要があると考えます。

写真 燃焼灰の施用試験(カラマツ苗畑)

参考資料

1)平成18~19年度重点領域報告書「木質系バイオマス燃焼灰の有効利用に関する研究」,平成20年3月

 

(利用部 物性利用科 山田 敦)

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