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●特集 2009木製サッシフォーラム

意見交換会(抜粋)

パネラー:森田,鈴木,月館(講演者,敬称略) 司会:性能部 性能開発科 平間昭光


平間: 3名の先生方からそれぞれ専門的な立場でお話をいただきました。会場の皆様には,いろいろなご意見があるのではないかと思います。それでは,意見交換会を始めたいと思います。

■温室の結露を防ぐ

会場: 木製の温室を試作しています。温室内で結露が発生すると,木が水を吸って割れたり腐ったりするのではないかという心配がありますが,どのような解決方法があるでしょうか。
鈴木: 温室を維持する環境によって違うと思います。熱帯のように,いつも湿度100%で,バナナの実がなる温室を木造で作るのは危険だと思われますが,我々が日常生活している環境とあまり変わらない温室もあります。木はある条件下で腐りますから,その条件から外すことさえできればよいと思います。
金森(林産試験場): 温室以外の構造物でも同じですが,腐りにくくするには,きちんとした基礎を作って地際部分からの腐れが抑制されるような手立てをとった上で,維持管理を継続していくというのが一番確実かと思います。割れについては,集成材を使われるのであれば,一般の無垢の乾燥材に比べて,寸法安定性からはかなり安全側にあるのではないかと思います。

■温室の性能とコスト

会場: 1回の豪雪で壊れてしまう温室ではなく,もっときっちりしたものを作ればよいのではないかと考えていました。鈴木先生の写真はたいへん高価に見えますが,坪当たりの単価はいくらくらいになるでしょうか。一般の家庭用のアルミの温室の何倍くらいでしょうか。
鈴木: 今は温室を実験的に作っているので,正確かどうかわからないのですが,パイプの骨組みを土に刺すタイプのビニールハウスと比べるとコストの面では話にならないと思います。しかし,ビニールハウスのビニールは3年から5年程度の耐久性しかありませんから,数年で更新していくことと比べてどうかという話だと思います。鉄骨造などの温室と比べると,今回若干基礎が過大だったと思いますが,360m2で600万円くらいでした。施工は自分たちで行い,基礎,プレカットも含めた材料費,硬質のフィルムを業者に張ってもらってという値段です。坪6万円くらいですから安くはないと思います。基礎を軽減できればもっと安くなると思います。
 ビニールハウスは,坪2~3万で,鉄骨の温室で坪7~8万かかると思いますが,農家が生産で使うとなると,基礎の作り方を工夫して自分たちで建てるのならば,ぎりぎりコスト的に成立するかもしれません。集成材を使っていますので,芯持ちのトドマツを使えば,材料費は半分程度になる可能性があります。建物自体は維持管理の仕方で20~30年保ちます。通常のビニールハウスの塩ビフィルムが3年ごとに大量に廃棄物になるというのはちょっといやな感じがするので,施設型の温室になればと思います。

写真 意見交換会の様子

平間: 温室は,エクステリア商品の中ではかなり高額です。森田さんは実態調査で数多くの温室を調べられていますが,価格的な動向と,ユーザーの満足度など何か関連するようなお話がありましたら,いただきたいのですが。
森田: 価格はここ何年か変わっていないと思います。形態もほとんど変わっていません。札幌市内と釧路で調べた例がありますが,住宅の4%で温室をつけているので,ニーズはあるだろうと思います。満足度に関しては,暑すぎると使えないという意見があります。それが解消できればもっと欲しい人はいると思います。費用対効果では,少し高いという意見のほうが多いです。

■温室内環境の制御

会場: ガラスとポリカーボネートでは,温室内の温度や日光の透過率の違いがあるのでしょうか。
月館: あまりポリカーボネートについて調べたことがないので正確なことは申し上げられませんが,ガラス1枚とポリカーボネート1枚であれば,どちらでも差はないと思います。透過率はガラスのほうがいいですが,ガラスにもいろいろな種類がありますから,場合によってはポリカーボネートの透過率がいい場合もあるかもしれません。
石井(林産試験場): 我々はサンルーム,ウインターガーデンを検討していく上で,居室でも物置でもない空間をイメージしていました。半戸外空間として,準居室,つまり居室までの性能を要求はしないというイメージでした。外に出るのが大変な高齢者が家の中にいながら家の外にいるという環境を創りたいという考えでした。今日のお話では,それほどひどくない環境を創ることができるということですが,そういう考え方の温室の提案という可能性はあるのでしょうか。
森田: 準居室という環境が,どのような状態を目指しているかによると思いますが,寒いときに暖房して,日中暑いときに空気を抜けば要求する環境を実現できます。しかし,暖房費をかけて,結局日中には熱を逃がしてしまうのを許容するか否かだと思います。実際,室内のような環境を維持しようと思えば可能ですが,費用はかかると思います。どちらかというと室内は室内で快適に保って,やや外よりの環境が欲しいときに使うということを想定しています。
会場: 温室が冬に寒いのはストーブを焚けば暖まりますが,夏の室温を下げるにはどうすればよいでしょうか。換気扇で換気したほうが効果的なのか,それとも開放したほうが効果的なのか教えてください。
月館: 換気扇を使うよりも開口を大きく取ったほうが,風量は多いでしょう。換気扇で風量を大きくとるというのは結構難しいのです。無風のときでも,大きくドアを開けたほうが,換気量が多くなる可能性が高いと思います。いずれにしても天井面がガラスですと,そこから日射が入ってくるので,完全に開放しない限りは,どうしても温度が上がってしまいます。天井面で日射の遮へいができればかなり違うと思いますが,それをまったくしない状況で日射を取り入れるとなると夏は開けられるところを開けるのが一番ではないかと思います。
会場: 熱交換換気は,カタログデータは良いのですが,メインテナンスを継続していないと,効率は徐々に落ちてきます。それよりも,第3種換気のほうが安全だと感じています。そこで,窓にその機能を持たせる可能性はあるでしょうか。
月館: 窓を吸気口として排気は換気装置で排気する第3種換気の考え方もあります。第1種換気のメインテナンスは確かに大きな問題ですが,私としては建物の性能が上がりますし,ビルなど換気の負荷が非常に大きな建物であれば,きちんとメインテナンスができるようにして,熱交換換気をしたほうがいいのではないかと考えています。

写真 意見交換会質問者の様子

■完全木造温室の可能性

会場: 温室のコストの問題に関して,基礎から木で作るという可能性はあるでしょうか。最近の防腐処理技術で,例えば加圧防腐処理した丸太を束状の基礎として埋めていくのはどうでしょうか。
鈴木: 逆に林産試験場の方にお聞きしますが,何十年ものオーダーで土の中に打ち込めるような,しかも環境にやさしい木材があるのでしょうか。
平間: 実は私たちもそういったところで悩んでいます。クレオソートやCCAのような防腐剤を使えば,枕木等の実例から行くと20年くらい持つだろうといわれています。それに代わるものが,今の研究開発のポイントになります。しかし,実感としてはまだまだ厳しい点もあります。温室の基礎は,温度が高くなりまので,木を腐朽させる微生物が冬の間も活動できます。そうすると,無加温温室でもある程度熱が供給されるところで木を使うのは是か非かというのは今後考えていく必要があります。

平間: 今回の講演は,北海道に合う建築物の提案を行うという非常に夢のある話でした。皆様方の企業活動,研究内容に役立てていただければと思います。

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