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「NHKおはようもぎたてラジオ便-北海道森物語-」林産試版



 林産試験場の職員がNHKのラジオ番組に出演し,提供した最新の研究情報について,番組でのやり取りを再現してお伝えしています。

(担当:企画指導部普及課)



DNAで木材の腐れを早く発見します

出演:性能部 耐朽性能科 東 智則
放送日:平成21年5月27日(水)



木材の腐れは菌が原因

NHK  今朝の森物語は難しそうなテーマです。「DNAで木材の腐れを早く発見する」ということですが,どういうことですか?
  木材を腐らせているのは菌類で,きのこの仲間です。これらの菌類は木材を腐らす菌ということで,一般に「木材腐朽菌」と呼ばれています。
 この菌が持っているDNAの配列を利用することで,木材の中にこのような菌類がいるかどうかを早期に調べることができます。もし木材腐朽菌がいれば,一見大丈夫そうな木材でも,そのまま放置しておくと腐っていく可能性があります。

 

PCR法で菌の存在・種類を調べる

NHK  木材を腐らす菌が木についているとして,それを調べることで腐っていくことを防ごう,というわけですね。DNAの配列を利用するという話が出ましたが,それはどういうことなのでしょう?
  生物が持っているDNAの配列の中には,それぞれの生物の種類に特徴的な,その生物だけが持っている配列の部分があります。この部分を調べることで,木材腐朽菌がいるかどうか,あるいはどんな菌の種類かを調べることができます。
 春に問題となった新型インフルエンザについての報道の中で,それが新型かそうでないかの判断にPCR法という方法が使われているのを耳にした方もおられるかと思います。私たちも現在このPCRという方法を使って,木材の中に木を腐らせるような菌がいるかどうか,またいたとすればそれがどんな種類の菌なのかといったことを調べるための研究を行っています。

写真 木材腐朽菌の検出作業,PCR法により検出された菌のDNA泳動像

どうすれば木材の腐れを止められるか

NHK  新聞などをにぎわした新型インフルエンザについてDNA遺伝子の状態から判断する,それと同じ方法でどんな種類の菌なのかを調べるわけですね。それでは,どういうことをすれば木材の腐れを防ぐことができるのでしょう?
  木材を腐らす菌を早く見つけることができれば,例えば通気を良くして湿気がたまらないようにするなど,菌が育ちにくいように環境を改善することができます。あるいは防腐剤で処理するなど対策を取ることができるので,腐れの進行を止めることができます。

木材を腐らせないことは温室効果ガスを発生させないこと

NHK  菌の種類がわかれば,菌の成長を抑える方法がわかり,対策を施すことで木が腐ることを抑えられるというわけですね。それでは,木の腐れを防ぐことができると,実際,私たちの生活にどのように役立つのでしょうか?
  木材を腐らせないようコントロールできれば,住宅や野外の木造建築物を長寿命化,つまり長い期間使うことができます。木材を腐らせずに維持するということは,その間,炭素を木材の中に固定しておくことになります。腐れ(分解)による二酸化炭素が放出されないので,それが温暖化防止にも役立つのではないかと期待できます。

DNAによる木材腐朽診断を紹介したマニュアルが出ています

NHK  木が腐らないということは,樹木が二酸化炭素を吸って木の中にため込んでいるので,木が長持ちする分,二酸化炭素をため込んだままでいられる,温室効果ガスを抑えている,と言えるわけですね。最後にこの技術の実用化に向けた動きを教えてください。
  木材を長い期間使うためにはメンテナンスが必要です。最近,住宅,あるいは野外の木造の建物の腐れを診断しメンテナンスを行うためのマニュアルができました。このマニュアルの中で,私どもの研究成果であるDNAを利用した診断方法が紹介されています。実際の現場でこの研究が役に立つよう,まずはこの診断方法を広めることから取り組んでいきたいと思います。
NHK  北海道立林産試験場発の技術が北海道の中で生かされるということですね。(以上) 

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