(担当:企画指導部普及課) |
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NHK 今朝の話題は「木の音色を楽しむおもちゃについて」ということですが,林産試験場といえば木材の総合研究所という堅いイメージを持っています。それがどうしておもちゃを作ることになったのですか?
川等 確かに林産試験場は木材の研究所として企業への技術支援など研究成果の普及に努めているところですが,並行して広く木に親しんでもらうための社会貢献活動も行っています。
NHK おもちゃを使って,じかに木に触れて楽しんでもらおうということですね。
川等 多くの楽器で木が使われているように,木材から生まれる音色はとても心地のよいものです。林産試験場ではこの「木の音」をより身近に感じてもらおうと,まず8枚の板を並べただけの1オクターブ分の木琴を作りました。これが予想以上に子どもたちに好評だったので,さらに子どもたちに遊びながら木の音に触れてもうおうと,木琴を応用して作ったのが,今日紹介するおもちゃです。
NHK 木琴の応用ということですが,どのような仕組みのおもちゃなのでしょう?
川等 林産試験場で作ったこのおもちゃは,木の球を転がして音楽を奏でるというものです。木琴は板を叩くことで音が出ますが,このおもちゃは,「叩く」代わりに直径3cmほどの木の球を板の上に落とすことで音を出すことにしました。板を階段状に並べて,その上を木の球が転がり落ちていくようにします。このとき上の段から下の段に球が落ちるたびに音が出るわけです。並べる板の音程と板ごとの転がりのスピードを調整しておけば,音がスムーズにつながって曲を奏でるようになるのです。
NHK 音程の調整には,木をいろいろな形にするのでしょうが,きっと長さや幅はふぞろいなのでしょうね?
川等 一般的な木琴を思い浮かべていただくとわかると思いますが,低い音ほど板の長さが長くて,高い音ほど短くなっています。基本的には板の幅や厚みが同じであれば,板の長さが長いほど音が低く,短いほど高くなります。ただし木材の場合,木の種類やその木が育った環境などによって材質が異なります。また一本の木からとった板でもどの部分からとったかにより違いが出ます。ですから板をこの長さにすればこの高さの音が出ると簡単に決めることができないのです。音を確かめながら少しずつ長さを短くして,つまり音を徐々に高くしていって,目的の高さの音に近づけていくという作業を一枚一枚行います。
NHK 木は密度や木目の入り方が違いますからね。木琴であればわりと堅い金属的な音がしますが,この木のおもちゃは素朴な木の板ということで,わりとやわらかい音を出すのでしょうね?
川等 そうですね。普通の木材をただ切っただけのものですので,市販の木琴よりやわらかい音といえるかもしれません。
NHK わりとぶこつな感じのする「木の音色を楽しむおもちゃ」ですが,どのように活用されているのでしょうか?
川等 普段は林産試験場の敷地内にある「木と暮らしの情報館」に展示していますが,道内各地で行われるイベントなどにも貸し出して多くの方に木の音色を楽しんでもらっています。また,市販の木琴のように長さがきれいに整えられたものではなく,わざと「ミ」よりも「ファ」の板の方が長くなっているような木琴でも遊んでもらっています。
NHK イベントなどでの反応はどうですか?
川等 子どもはもちろん,大人の方からも興味を示していただいています。予想以上のきれいな音に驚かれ何度も木の球を転がしては歓声をあげられます。私たちもうれしいかぎりです。
今後は,簡単な木琴作りなどの体験を通して木材の性質を少しでもわかってもらえるような,そんな企画も考えていきたいと思っています。
NHK 「木の音色を楽しむおもちゃ」,大人の方たちも楽しまれているのですね。私も聞いてみたい気がしてきました。これから夏休みですから,木と暮らしの情報館にお出かけになり聞いていただきたいですね。(以上)