表面処理用木材保存剤による木材のメンテナンス

性能部 耐朽性能科 宮内輝久



 はじめに


 潤いと温もりのある生活空間を創出することを目的とし,住宅用外構部材や道路施設等に木材が利用される機会が増えています。屋外で使用される木材は,太陽光や風雨による劣化を受けやすくなり,また,腐朽による劣化の危険性も高くなります。腐朽による劣化は木材の強度性能を著しく損なうため,木材をより長く持たせるためには適切なメンテナンスを実施する必要があります。
 腐朽を防止するためのメンテナンスとしては,表面処理用木材保存剤を塗布する方法(塗布処理)などが簡便な方法としてあげられます。しかし,塗布処理を実施するタイミングが効果に及ぼす影響は明らかになっていません。
 本稿では,塗布処理を実施するタイミングとその効果を検証するために行った実験についてその概要を紹介します。

 腐朽状態の異なる木材に対する表面処理用木材保存剤の塗布処理効果の検証


(1)実験方法

 写真1に示すような試験体(2×2×8 cm)を作成し,ファンガスセラー(FC,写真2)に設置しました。FCは土壌を用いた槽で,水分や温度を腐朽が起こりやすい状態にしたものです。試験体は,図1に示すように上部が土壌面から2 cm出るように設置しました。
 FCに1か月あるいは2か月間設置することで,腐朽状態の異なる試験体を作成しました。これらに表面処理用の木材保存剤を塗布し,再びFCに設置しました。塗布処理後3か月,6か月の試験体を回収し,腐朽状態の確認と強度試験を実施することで,塗布処理の効果を確認しました(図2)。



(2)実験結果

 図3に,FCに設置した試験体の強度変化を縦圧縮強度の残存率で示しました。対照用として,塗布処理を行っていない試験体の強度変化も示しています。
 FC設置1か月後の試験体にはほとんど腐朽が生じておらず,強度性能の低下も確認されませんでした。一方,FC設置2か月後の試験体には軽微な腐朽が認められ,強度性能の低下も確認されました。
 これら腐朽状態の異なる試験体に塗布処理を行った後の強度変化を見ると,FC設置1か月後に塗布処理を行った場合,再設置後の強度性能の低下はほとんど認められませんでした。一方,FC設置2か月後の試験体の場合,塗布処理を行わなかった試験体と同じように強度性能が低下しました。


 写真3は,試験後の試験体の断面の様子を示しています。塗布処理を行わなかった試験体B,Dは腐朽がかなり進行していることが分かります。それに対し,FC設置1か月後に塗布処理を行った試験体Aは腐朽の形跡が認められませんでした。
 一方,FC設置2か月後に塗布処理を行った試験体Cは,試験体の内部がくりぬかれたような状態で腐朽が進行していました。これは,FC設置2か月後の時点で腐朽菌が試験体内部にまで進行し,この段階で塗布処理を行っても内部の腐朽を抑えることができなかったことによると考えられました。

 以上の結果から,腐朽菌が木材内部に進行する以前の,腐朽が軽微な状態で塗布処理を行えば,十分な効果が得られることを確認できました。併せて,塗布処理を行うタイミングの重要性を示すことができました。

 おわりに


 屋外で使用される木材は腐朽に対する対策を十分に取る必要があります。対策の一つとして,加圧注入木材を利用することが考えられます。また,表面処理用の木材保存剤を用いた塗布処理も対策の一つとしてあげることができます。

 林産試験場の屋外暴露試験地での結果では,木材保存処理剤の塗布処理の場合,2~3年で軽微な腐朽が認められています。したがって,今回行った基礎的な検討の結果から考えると,塗布処理によるメンテナンスは2~3年の間隔で実施する必要があると考えられます。今後,実大材を用いた試験や,屋外試験等による実証を行う予定です。

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