連載「道産木材データベース」


 林産試験場では,樹木の生態・形態,木材の性質・用途および関連の文献情報等を樹種ごとに取りまとめたデータベースを制作中ですが,ホームページへの公開を前に,記事部分を順次本誌で紹介しています。

(担当:企画指導部普及課)



アオダモ


名称  和名:アオダモ
     別名:コバノトネリコ
     アイヌ語名:イワニ iwa-ni(山地・木)
     漢字表記:青ダモ(「木」へんに「佛」でタモと読ます)
     英名:Ash(トネリコ属の総称として)
学名  Fraxinus lanuginosa Koidzumi var. serrata Nakai
    (ケアオダモを母種とする)
分類  モクセイ科トネリコ属
分布  日本,南千島,朝鮮半島

生態・形態
 山地のやや乾燥した肥沃な土地を好み,イタヤカエデ,ハリギリ,アサダ,シナノキ等,多くの広葉樹と混交する。急傾斜地や高地にも見られる。道内には道北と道東の一部を除き分布する。蓄積の約8割が太平洋沿岸地域に集中し,特に日高地方に多い。
 高さ12m,直径60cmほどに生長する。幹は比較的通直。萌芽力が強く,よく株立ちする。樹皮は平滑で青みを帯びた灰褐色。地衣類が付着してできる灰白色~灰緑色の斑紋を持つ。
 葉は奇数羽状複葉で対生。通常5または7枚の小葉からなる。小葉は長楕円形で長さ4~10cm,幅1.5~3.5cm。先端が細長くとがり,基部は広い楔形。鋸歯縁を持つ。
 白色の総状花が5月頃開花する。雄花と両生花が別々の個体につく。果実(翼果)は幅3~4mm,長さ2~3cm前後の細長いへら状で,やや反る。先端に切れ込みを生じ,根元がややとがる。10月頃熟し,まとまって下垂する。
 和名「アオダモ」は,樹皮の浸出液が青いことに由来する。

木材の性質
 環孔材。材色は全体に淡黄白色で,心材と辺材の境界は不明瞭。心材部がやや濃色を帯びることもある。木理は通直で肌目はやや粗い。加工性,切削性,表面仕上げ,耐朽性は中庸。重厚で粘りがあり裂けにくいので,道具の柄や曲げ木に適する。

 木材の性質それぞれの意味については,連載1回目の2007年12月号で説明しています。

主な用途
 明治期,野球が日本に定着して以来,高級バット用材として最も多く用いられてきた。一般用にはヤチダモやホワイトアッシュ(米材)が多く用いられるが,プロ選手用にはアオダモが好まれる。
 流通するバット材のほとんどは道内の天然林より産出される。天然の個体は初期成長が遅く,胸高直径数cmに成長するのに約40年を要し,特に良質なバット用材とされる個体は利用可能な径級に達するまで80年以上を要するという。良木の奥地化などで,原料の確保は年々困難になっている。
 しばしば各地のイベントで植樹活動が行われるが,これまでに用材生産を目的とした人工造林の事例はほとんどなく,資源回復・保続のために施業技術の確立が求められている。
 この他の運動器具(テニス・バドミントン用ラケットなど)にも用いられるほか,良質の器具用材,床柱としても好まれるが,小高木で資源量が少ないことから一般的ではない。生材の含水率が低くよく燃えることから,造材現場などでは焚き木として好まれた。
 アイヌはマキリ(小刀)の束・鞘などに用いるほか,樹皮の浸出液を入れ墨に用いたという。

引用

・日本の木材:(社)日本木材加工技術協会 1989

参考

・原色日本植物図鑑 木本編【I】:北村四郎・村田源 保育社 1971
・北海道のアオダモに関する基礎資料:(社)日本野球機構,(財)北海道森林技術センター 1985
・知里真志保著作集 別巻I 分類アイヌ語辞典 植物編・動物編:知里真志保 平凡社 1976

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