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 理事長よりごあいさつ

北海道の産業技術と生活文化の自立的展開に向けて

地方独立行政法人北海道立総合研究機構 理事長 丹保憲仁



写真 理事長

 北海道民のために各分野で活動を続けてきた22の道立試験研究機関を統合して,新たに地方独立行政法人「北海道立総合研究機構」を創設することとなりました。これまでも,各試験研究機関は北海道が求める様々な分野や地域の研究課題に対応して,真摯な歴史を刻み技術開発・普及などに多くの成果を上げてきました。しかし,複雑化・多様化してくる現代社会の様々な要求に的確かつ迅速に対応していくためには,伝統的な仕組を超えた取り組みが必要です。人と金が限られる中で,多様な要求に的確に対応するためには,組織構成及び運用の総合化・柔軟化と,組織内外の多様な連携が鍵となります。もちろん,個々の研究調査のレベル向上とその持続が基本にあってのことであり,1+1が2よりも大きく,1+1+1が5にも6にもなることが期待されての統合です。道立でありながら,官の仕組みを超える仕事が出来る研究法人でなければなりません。

 今,世界人口は人類史上最高速度で増加しつつあります。世界は18世紀にはじまる近代化の200年をへて,近代文明が成熟飽和しつつある高いGDPを示す先進地域と,近代化による進歩が今なお有効で人口・所得が急増しつつある発展途上国に2分化し,その両者を包む人類活動の全地球化(グローバリゼーション)が急速に展開しつつあります。急速な人口増加により,1970年代までに存在したすべての人類の総計よりも実在の人間数の方が多いという恐るべき人類史の状況に至っています。
 地球は,すべての現存または未来の人類に,近代200年の大成長を支えたと同じエネルギー・水・食物を与え続けるには小さすぎます。大成長を可能にした非再生資源(化石燃料・ウラン・リン・深層地下水など)の枯渇は目前に迫り100年は持ちそうもありません。近代後期を特徴付ける環境・資源制約時代の到来です。22世紀には地球人類は量的成長を止め,すべての領域で成熟を目指し,近代文明は後近代の新しい秩序に席を譲らざるを得ないでしょう。世界人口100億人時代の到来です。

 日本は近代前期の後半に急速な近代化を進め大成長しましたが,列島孤で自立的に生きることを歴史的に放棄して,世界にエネルギーと食を求め,その原資を生み出す巨大な製造業を太平洋メガロポリスに展開して集積度を増し,輸出を拡大してきました。
 日本列島弧の中で北海道だけが唯一日本近代化の中で現在でも食糧・水の自立性を持つ地域です。日本の周縁部北海道は,石炭というかつての存在意義の中核であった資源は失ったけれども,面積8.3万km2,人口560万人の住む,ヨーロッパ中規模国家なみの,食/住/森のバランスの良い,教育の整った,余裕を持って近代後期の成熟社会に向かって自立的な展開を進めうる地域です。不安は昔と逆に,エネルギー供給です。北海道の産業技術と生活文化の次の時代への自立的展開に向けて,創設された北海道立総合研究機構の推進すべき課題は多く,前途は遼遠です。道民の皆様のご支援,ご鞭撻をお願い申し上げます。

  (本稿は,法人本部ホームページにある理事長挨拶文を転載したものです)

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